車好きの皆様、オープンカーに乗ったことはありますか?お天気の良い時に、車の屋根を開けて走ると気持ちいいことこの上無しです。筆者はオープンカーに乗せてもらったことはあるのですが、所有したことありません。オープンカーと聞いて真っ先に思い浮かぶ車種といえば、マツダのロードスターではないでしょうか。私が若い頃は、初代のユーノスロードスターが一世を風靡しました。車好きの男性なら、小さくてキビキビ走るロードスターに憧れたのではと思います。
そして輸入車のオープンカーでまず1番目に挙げられるのは、ポルシェのボクスターだと思います。ポルシェのスポーツカーといえばフラグシップの911が有名ですが、ボクスターも非常に人気がある車です。しかし筆者は911に憧れていたこともあり、ボクスター=911カブリオレの廉価版だと考えていました。以前に「我が家にポルシェがやってくるはずでしたが・・・」という投稿で書いた通り、残念ながら筆者は911を手にいれることができませんでした。そして新たな911MT車を探すも中々見つからず、候補としてボクスターのMT車も視野に入れるように。色々ボクスターついて調べているうちに、ボクスターには911にない魅力があることに気づきました。ということで今回は、ポルシェのオープンカー・ボクスターの魅力についてお話したいと思います。
↓残念ながら我が家にやって来なかった「996カレラ」の投稿
・ボクスターの歴史
遡ることこと1963年、初代ポルシェ911(901型)が発売されて以来、ポルシェは911と共に歩んできたと言っても過言ではありません。第2世代の930から993まで空冷エンジンのポルシェを販売してきました。しかし1990年代、ポルシェが販売不振に陥り、変革を迫られることになります。このまま911を販売し続けていても、ポルシェというブランドが存続できるのか?新しいモデルを作るべきではないのか?首脳陣の葛藤もありましたが、デザイナーやエンジニアの尽力により、1996年にポルシェの低価格路線として、初代ボクスターがリリースされました。これまでの911のエンジンレイアウトは空冷のRR(リアエンジン・リアドライブ)でしたが、ボクスターは水冷のMR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)仕様に。そして「ボクスター」の名前は、水平対向エンジンを意味する「ボクサーエンジン」と、折りたたみ式の屋根を持つ二人乗りのオープンカーを意味する「ロードスター」を掛け合わせて作った造語です。そしてボクスターの発売から1年後の1998年、初の水冷911である996型がリリースされることになります。初それでは次章より歴代のボクスターを見ていこうと思います。
・ボクスターの歴代モデル
*986ボクスター
初代モデルである986ボクスターは、FRレイアウトの968を継承したモデルでしたが、水冷の水平対向6気筒・ミッドシップエンジンが採用されました。翌年(1997年)に発売される996型911と共通のヘッドライトを使用するなど、これまでの廉価版とは違って最も911に近づいたオープンボディのポルシェは、瞬く間に人気車種となりました。そして986ボクスターの好調な売り上げが、ポルシェを経営危機から救ったと言われています。下記の表にもあるように、発売当初は最高出力204馬力の2.5Lベースグレードのみでしたが、1999年の後期は2.7Lに排気量が拡大。その1年後には、上位グレードである3.2LボクスターSがリリースされました。
モデル名 | ボクスター(前期) | ボクスター(後期) | ボクスターS(後期) |
販売年 | 1996年〜 | 1999年〜 | 2000年〜 |
排気量 | 2480cc | 2687cc | 3179cc |
最高出力 | 204ps / 6000rpm | 220ps / 6400rpm | 260ps / 6200rpm |
トランスミッション | 5MT / 5AT | 5MT / 5AT | 5MT / 5AT |
*987ボクスター
2004年に2代目としてリリースされた987ボクスターは、991の997型と部品を一部共有しています。ということは、986の涙目ヘッドライトが987になって丸目になったということですね。下記の表にもあるとおり、前期モデルは排気量2.7Lのボクスターと3.2LのボクスターSがありました。その翌年には、同じMRレイアウトのクーペ版であるケイマンが発売されます、そして2008年からの後期モデルは、2.7Lボクスター&3.4LのボクスターSがリリース。馬力アップに加えて後期からの大きな変更といえば、今までポルシェのATの代名詞だったティプトロニックから、より高性能なPDK(*)に進化したことです。
*PDKとは:ポルシェが開発したデュアルクラッチ式オートマチックトランスミッションのことで、ポルシェドッペルクップルングの略称です。このPDKの登場により、MTを操るより格段に正確で早いシフトチェンジが可能になったと言われています。
モデル名 | ボクスター(前) | ボクスターS(前) | ボクスター(後) | ボクスターS(後) |
販売年 | 2004年〜 | 2004年〜 | 2008年〜 | 2008年〜 |
排気量 | 2687cc | 3179cc | 2893cc | 3436cc |
最高出力 | 240ps / 6400rpm | 280ps / 6200rpm | 255ps / 6400rpm | 310ps / 6250rpm |
トランスミッション | 5MT / 5AT | 6MT / 6AT | 6MT / 7AT | 6MT / 7AT |
*981ボクスター
2012年にリリースされた3代目である981ボクスターは、ポルシェというマシンとして色々進化を遂げたモデルでした。電子制御システムの充実、ボディの剛性強化および軽量化、燃費15%向上など、グッと現代的なオープンカーになりました。下記表にもあるように、2014年には高性能モデルGTSも販売されました。次の現行モデルである718ボクスターには4気筒ターボエンジンを採用しているので、この981シリーズは、ボクスター最後のNAエンジン車となりました。
モデル名 | ボクスター | ボクスターS | ボクスターGTS |
販売年 | 2012年〜 | 2012年〜 | 2016年〜 |
排気量 | 2706cc | 3436cc | 3436cc |
最高出力 | 265ps / 6700rpm | 315ps / 6700rpm | 330ps / 6700rpm |
トランスミッション | 6MT / 7AT | 6MT / 7AT | 6MT / 7AT |
*718ボクスター
最後に紹介するのは現行型の718ボクスターで、2016年から4代目としてリリースされました。このモデルチェンジでは、従来の水平対向6気筒から水平対向4気筒に変更され、ボクスターでは初めてダウンサイジングターボ化となりました。ベースグレードのボクスターは2L・300馬力、Sグレードは2.5L・350馬力と出力が大幅に向上。2017年からは365馬力になったGTSも販売されました。更に2020年には、4.0Lの水平対向6気筒エンジンを搭載したボクスターGTS4.0もリリースされ、最高出力はついに400馬力に達しました。718ボクスターの見た目は、981よりもシャープでスポーティーになった印象です。
モデル名 | ボクスター | ボクスターS | ボクスターGTS | ボクスターGTS4.0 |
販売年 | 2016年〜 | 2016年〜 | 2017年〜 | 2020年〜 |
排気量 | 1988cc | 2497cc | 2497cc | 3995cc |
最高出力 | 300ps / 6500rpm | 350ps / 6500rpm | 365ps / 6700rpm | 400ps / 7000rpm |
トランスミッション | 6MT / 7AT | 6MT / 7AT | 6MT / 7AT | 6MT / 7AT |
・ポルシェのミッドシップ・オープンカーの魅力
筆者は、ボクスターやケイマンを所有したことはないのですが、2度ほどポルシェのMR車を運転をさせてもらったことがあります。それらは、エンジンが運転席のすぐ後ろにあるため、振動をダイレクトに感じながらマシンを操ることができます。尚且つボクスターなら天気の良い日は天井をオープンにすると、水平対抗エンジンの音色が遮ることなく聴こえてきます。オープンと言っても一昔前のカブリオレモデルとは違い、風が運転席に入り込んでヘアスタイルが乱れてしまうこともありません。空力的にも計算されているので、天井をオープンにした状態でも、非常に運転しやすいです。
911でない車はポルシェではないと思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。少々癖のあるRRエンジンレイアウトより、むしろミッドシップ車の方が、意のままに曲がると言われています。両方所有しているオーナーさん曰く、911よりボクスターの方が断然運転しやすいそうです。但し、サーキットや峠をガチ攻めしたいた方は、ボクスターより剛性の強いケイマンを選んだ方が良いでしょう。いずれにせよ、ボクスターは911の廉価版ではなく、911よりハンドリングに優れたピュア・スポーツカーだと言えます。そして他メーカーのミッドシップ車よりも乗りやすく、街乗りや普段使いもできるので、ボクスターは非常に優秀な車です。
そして最後のハードルは値段です。無論911よりは買いやすい価格なのですが、現行の718や一世代前の981はそれなりに高価です。特にGTSやGTS4.0などの上位グレードに関しては、ひと昔前の911カレラと遜色ないお値段です。そこまでは金策できないけれど、それでもポルシェに乗りたい・ポルシェのMRを楽しみたいと言う人は、ぜひ二世代前の987を選んで欲しいです。マニュアル仕様は少し高いのですが、ティプトロニックもしくはPDKなら500万円以下でも良い個体が見つけられると思います。
そんなボクスターの魅力を要約すると、ポルシェにしてはリーズナブルな値段で、ポルシェMRの本気の走りが楽しめるところです。(但し年式とモデルによりますが・・・)気になる方は、一度ポルシェセンターに見に行ってみましょう。
・まとめ
と言うことで今回は、ポルシェのオープンカー・ボクスターの歴史から歴代モデル紹介、そして魅力について書かせて頂きました。ボクスターのことを色々調べ、実車に乗ってみると、911カブリオレを凌ぐ楽しさがあることがわかりました。そしてボクスターをどんどん欲しくなっている、私がここにいます(笑)。暦は10月、長かった暑い夏が終わり、ツーリングに最高な季節である秋がやってきました。ボクスターの屋根をオープンにして、黄金色に輝く阿蘇路を走ったら、さぞかし気持ちいいだろうなぁという妄想をして、この投稿を終わらせて頂きます。ご購読ありがとうございました。
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