サッカーワールドカップ・カタール大会を振り返る

2022年11月20日、4年に1度のサッカーの祭典「サッカー・ワールドカップ」が、中東カタールで開催されました。サッカー日本代表は目標であったベスト8に届かなかったものの、強豪国ドイツ・スペインを破り、連日メディアで報道されていました。サッカーに興味のない人でも、サッカーの盛り上がりを目の当たりにしたと思います。そして、前回はこのカタール大会で日本代表ならびにワールドカップに興味を持った人に向けて、管理人が知る限りのワールドカップについて、Youtubeにあがっている映像のお力も借りながら、紹介させて頂きました。

過去のワールドカップを振り返る

ドーハの悲劇」から始まった日本代表が、「ドーハの歓喜」に沸いた今大会。また36年ぶりの優勝に沸いたメッシ率いるアルゼンチンをはじめ、世界最高峰の真剣勝負を見せてくれたカタールワールドカップを、私なりに振り返っていきたいと思います。サッカーの専門家でもジャーナリストでもない、ただのサッカー好きのつぶやきだと思って多めに見て頂けたら幸いです。

日本代表の戦い

森保ジャパン発足〜アジア最終予選

前回大会のワールドカップ・ロシア大会ではコーチだった森保一氏が、大会後に日本代表監督に就任。ロシア大会メンバーからキャプテンの長谷部が代表引退、中心選手だった本田・香川は召集されず世代交代が進みました。大会当初は、ファンタジスタ中島翔哉とトップの南野拓実を軸とした攻撃的なパスサッカーで見るもの魅了しました。中島が怪我やカタール移籍などで代表に呼ばれなくなってから、南野・大迫を軸としたチームになっていきます。アジアカップはカタールに敗れ準優勝、アジア3次予選と2次予選は危なげなく通過します。アジア最終予選が始まり、初戦のオマーン戦をホームで0−1で敗北、続くサウジ戦もアウェーで0−1落とし、最悪の2連敗スタートで崖っぶちに追い込まれます。しかし続くホームのオーストラリア戦を2−1で勝利すると、そこから5連勝でワールドカップ出場を決めました。最終予選で評価を上げたのは、右サイドで4試合連続ゴールの伊藤純也、左サイドでオーストラリアから2ゴールを奪いワールドカップ行きを決めた三笘薫でした。

ワールドカップ出場決めた後は、様々な選手や組合せをテストした森保ジャパン。フォーメーションもトップ下を置く4−5−1のシステムを採用し、トップ下で躍動したのが鎌田大地。しかし大迫の代わりの1トップを務めるFWが確立せず、富安・板倉・守田・遠藤など主力組も怪我人だらけ。不安を抱えながら、11月のメンバー発表を迎えました。

森保ジャパン発足〜メンバー発表まで

26名メンバー発表

FWの大迫・古橋が外れるサプライズがありましたが、下記の26名が選出。(DF中山の怪我に伴い、FW町野が追加召集)海外組19名、国内組7名でワールドカップ本大会に臨みました。

Goal.comさんのHPから引用

ワールドカップ・グループ分け

日本代表は、ドイツ・コスタリカ・スペインと同じグループEにポッドされます。予選リーグで、優勝経験国2ヶ国と対峙するのは史上初。早くも日本国内では、予選突破はかなり厳しい、日本代表終わったなど論争されるようになりました。サッカー好きの管理人も、今回の組み合わせはかなりキツいれど、何とかドイツ・スペインから勝ち点をもぎ取って決勝トーナメントに行って欲しいと願っていました。

11月23日ドイツ戦

11月20日にワールドカップが始まり、3日後に運命のドイツ戦がやってきました。この試合はご覧になられた方も多いので、結果についてはさらっと書いておきます。前半は、ドイツに押し込まれ日本は防戦一方でした。そして前半33分にPKでギュンドアンに決められ、そのまま前半を0−1で終了。後半、浅野、堂安、三笘といった攻撃的な選手を次々と投入し、徐々に試合は日本の時間帯になっていきました。そして後半30分、三笘ー南野とつなぎ、折り返しのこぼれ球を堂安が同点ゴール!!!さらに38分には板倉からの縦パスを、野が神トラップしてDFを背負いながら、ニア上に豪快に決めて逆転!!!その後のドイツの猛攻を凌いで、見事ドイツから勝ち点3をゲットしました。

11月27日コスタリカ戦

続くコスタリカ戦で勝ち点3を奪って、一気に決勝トーナメント進出を決定づけたい日本代表。森保監督はなんとドイツ戦からスタメンを何人かターンオーバーして第2戦に臨みました。守備的布陣を敷きブロックを作るコスタリカを崩せないまま前半終了。後半は、三笘や浅野など攻撃のカードを切りますが1点が遠い展開。すると後半36分、コスタリカに一瞬の隙を突かれ失点します。そのまま日本はコスタリカから点が取れず0−1で敗戦。格上のドイツに勝ち、格下のコスタリカに負ける、これがサッカーだなぁと痛感しました。

12月2日スペイン戦

予選リーグ最終戦の相手は強豪スペイン。この試合は、同グループのドイツVS コスタリカも同時刻キックオフとなります。日本は他会場の結果次第ですが、スペインには勝ちか最低でも引き分けが求められる状況でした。ドイツ戦からは、怪我の影響で遠藤・酒井・富安がベンチスタート。フォーメーションはスタートから3バックでしたが、代わりに田中碧・守田(コスタリカ戦で復帰)・谷口が先発に名を連ねました。序盤は、スペインのプレスと速いパス回しに耐える時間帯が続きます。前半11分に、右サイドのクロスからFWモラタがヘッドで合わせて失点。しかし、前半をこの1点で凌ぎ0−1で折り返します。後半頭から、堂安・三笘を投入し後半3分、堂安が豪快なミドルを叩き込んで日本が同点に追いつきます!!!さらに後半6分、堂安の折り返しが流れたところを、三笘がラインギリギリの「三笘の1mm」で折り返し、田中碧が押し込んで、日本が逆転に成功!!!

話題になった「三笘の1mm」

そこから40分以上、ブロックを作ってスペインの猛攻を耐え忍んで、2−1で日本が勝利。ドイツ戦に引き続き2回目のジャイアントキリングを果たし、下馬評の低かった日本がグループEを首位通過しました。2位通過はスペインで、ドイツは敗退が決定。

12月6日決勝トーナメント1回戦 クロアチア戦

日本代表の目標であるベスト8をかけた決勝トーナメント1回戦の相手は東欧の強豪・クロアチア(前回大会準優勝)日本はDF板倉が累積警告で出場停止でしたが、富安・酒井そして遠藤が先発出場を果たします。序盤は日本とクロアチアは一進一退の互角の展開。しかし前半終了間際の43分、コーナキック折り返しからの堂安のクロスを、吉田が落とし、前田大然が詰めて日本が先制ゴール!!!4試合目で初めて先制点を奪った日本でしたが、後半10分にクロアチアはクロスからペリシッチが技ありヘッドで同点に追いつきます。その後、三笘、浅野、南野を投入して勝ち越しを狙いますがスコアレスの展開で90分を終えました。延長に入りお互い決定機を作るも、1点が遠く1−1のまま延長戦終了。勝負はPK戦に委ねられました。

日本は、①南野②三笘④吉田がクロアチアGKリバコビッチに止められたのに対し、クロアチアは3人目以外が決めて、1−3で敗退が決まりました。またしてもベスト16の壁に阻まれた日本代表。ベスト8の目標を今回も達成することができず、カタール大会を後にしました。

日本代表は、優勝経験国2ヶ国が同居するグループEを2勝1敗で首位通過したことは、大変素晴らしいことだと思います。しかしながら決勝トーナメントに入り、PKの戦い方やプレーの質においては、ベスト8以上進んだ国々には及ばなかった印象でした。それでも日本代表は着実に前に進んでおり、次に期待ですね。

決勝トーナメント〜準決勝

今大会は、ワールドカップ史上初めてアジアの3ヶ国(日本、韓国、オーストラリア)同時に決勝トーナメントに進出しました。しかしながら3ヶ国いずれもベスト8には進出できず、欧州南米以外ではモロッコだけが次のステージに進みました。ベスト8ではブラジル、オランダ、ポルトガル、イングランドが脱落。ベスト4進出はアルゼンチン、フランス、クロアチア、モロッコ。特にモロッコはスペイン・ポルトガルを破ってのアフリカ史上初の4強進出で、欧州ビッグクラブでレギュラーをはる選手達が中心となり、非常に質の高いサッカーをするチームだと思いました。特に準決勝のフランス戦は0−2で破れはしましたが、クオリティーでは負けていませんでした。またクロアチアは日本・ブラジルをPK戦で下し、ベスト4まで駒を進めます。ベスト4に残ったフランス以外の3チームは、PK戦を制して勝ち上がってきたのも印象的でした。

そして今大会から導入された、VARと実時間のロスタイム。VARによってオフサイドやPK判定が正確になり、サッカーが変わりました。審判や相手を欺くことが難しくなったと思いました。ロスタイムもしっかりと計測して算出しているため、試合時間が長くなったのが印象に残っています。

史上稀に見る激戦だった、決勝戦

決勝まで勝ち上がってきたのは、神の子メッシ要するアルゼンチンと、前回のワールドカップ覇者フランス。決勝前の得点ランキングも1位5ゴールがメッシとエムバペ、3位4ゴールがアルバレスとジルー。どちらが優勝するか、得点王は誰の手に。数々のタイトルを手にしてきた35歳のリオネル・メッシが唯一手にしていない悲願のワールドカップを獲得するのか、それともエムバペ要するフランスが56年ぶりの連覇を成し遂げるか、非常に注目度の高い決勝戦でした。

前半は、まさにアルゼンチンのペースで試合が進みます。前半23分メッシがPKを決めて1点を先制。同36分、メッシの起点から流れるようなパス回しで、最後はディマリアが決めて2−0。アルゼンチンは、フランスのキーマンとなるグリーズマンを完全に抑え込み、何とフランスは前半シュート0で折り返します。後半の序盤もアルゼンチンペース。これで試合が終わるのかと思われた後半35分、フランスがPKを獲得し、エムバペが冷静に決めて1点を返します。そのわずか1分後、メッシからボールを奪うとフランスは流れるようなカウンターで、再びエムバペが決めて2−2の同点に。そのまま延長戦に突入します。延長後半4分、ラウタロ・マルティネスのシュートのこぼれ球をメッシが押し込みアルゼンチンが勝ち越し。しかし延長後半11分、エリア内でアルゼンチンDFがハンド、フランスはPKを獲得します。これをエムバペが再び決めてフランスが土壇場で3−3に追いつきます。そしてこのまま延長戦が終了。決着はPK戦に委ねられました。

PK1人目のエムバペとメッシが共に成功。しかしフランス2人目のコマン・3人目のチュアメニが外したの対し、アルゼンチンは全員が決めて、4−2でアルゼンチンがPK戦を制しました。実にアルゼンチンはマラドーナ時代の1986年以来の36年ぶりの優勝をきました。そしてメッシは初のワールドカップ制覇。惜しくも準優勝に終わったフランスの怪童エムバペは8ゴールで得点王に輝きました。

これほどまでに壮絶な撃ち合いのワールドカップ決勝は、久しぶりに見ました。メッシは大会MVPと優勝、本当おめでとうございました。そしてメッシと8得点を挙げ得点王となったエムバペはパリサンジェルマン所属のチームメイト。今後のサッカー界は、圧倒的なスピードと決定力を持つ23歳のエムバペを中心に回っていくことを、確信させてくれた大会でもありました。

メッシおめでとう!

ありがとうAbema TV&本田解説

今回サッカー選手以外にMVPを挙げるとすれば、私はAmeba TVを推したいと思います。ワールドカップ全64試合ネット配信無料だけでなく、追っかけ再生や試合後のお昼にハイライトが見れるなど、本当にサッカー視聴の概念を変えてくれました。今まではハードディスクに録画予約して見ていた訳ですから、凄いことです。特に日本戦は3000万アクセスを超え、回線がパンクしてしまうかもという中で、トラブルもなく視聴できた事は感謝しかありません。

そしてAmeba TVの中継でもう一つ良かったのが、本田解説。解説者としては型破りだったと思いますが、まるで元日本代表の本田選手と一緒にサッカーバーで観戦しているような感覚でした。また戦術だけでなく、選手目線で一緒になって応援している様子や、相手チームの穴を探すなど、本当にサッカーを見る姿勢が斬新で、私は全部Amebaで観戦しました。またサッカーをあまり知らない人でも、本田解説はわかりやすくて楽しく見れたとの声も聞きました。今後は、本田選手は解説はやらないと言っていましたが、また是非復活して欲しいです。

本田選手&寺川アナの解説は最高でした

ワールドカップ総括と今後の日本代表

最後に、ワールドカップ・カタール大会2022を自分なりに総括したいと思います。この大会を通して、サッカーが大きく変わってきていることを感じました。長らく続いたメッシ・クリロナ時代は終盤を迎え、エムバペやアルゼンチンのフェルナンデスやアルバレス、イングランドのサカやベリンガム、オランダのガクポなど優秀な若手が台頭してきました。また、クロアチアのリバコビッチ・モロッコのボノそしてアルゼンチンのマルティネスなど、PKストップできる優秀なGKの出現も印象的でした。VARの導入によって、これまでのような審判や相手を欺くことが難しくなったこともありました。2010年代に優勝したスペインやドイツのサッカーから、世界強豪国のサッカーがどんどん変わってきていると感じました。そしてアフリカで初めてベスト4になった、モロッコの堅守速攻サッカーも興味深かったですね。

次回大会からはワールドカップ出場国が32から48に増え、おそらくかなりレベル差がある国が戦うことになると思います。それに伴い予選の戦い方や試合数も変わってきます。

そして日本代表ですが、先日森保監督が続投することが決まり、来年3月から日本代表が再び集結します。これからの4年間は日本ならではの戦術を熟練させ、今いる選手のレベルアップや若手の台頭・抜擢を期待しています。そしてモロッコと同じように、欧州ビッグクラブでレギュラーをはる選手が複数人現れて、個の力とチームとしてレベルアップすることを願っています。4年後、新しい景色である「ベスト8」の壁を破るために!!!

個人技で突破する三笘選手

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