憧れのポルシェ911の歴史を学ぼう

読者の皆様、スポーツカーはお好きですか?40代の筆者と同世代以上であれば、幼少期は「大きくなったらスポーツカーに乗りたい」と思っていたのではないでしょうか。スポーツカーといえば、脳裏に浮かぶのはフェラーリやランボルギーニといったイタリア車、NSXやスカイラインなどの日本車です。そんな数多あるスポーツカーの中で、私が最も憧れていた車は、エンジンが後ろに積まれているドイツ車「ポルシェ911」でした。流れるような流線型のボディーにパワフルなエンジン音、そして一目でポルシェとわかる顔に、少年は心を奪われたことを今でも記憶しています。当時は、ポルシェ911の仕組みやモデルなどは、ほとんど分かっていませんでした。そして時は経ち2024年6月某日、とある車屋さんを訪れた際に偶然出会った「ポルシェ356スパイダー」、この車が放つ美しさに鳥肌が立ちました。その車体は純粋なポルシェではなく、カナダのインターメカニカ社が忠実に再現したヴィンテージ・レプリカ。そしてポルシェ356という車がポルシェ911のご先祖様と聞いて、改めてポルシェ911の歴史を知りたいと思いました。ということで今回の投稿は、ポルシェ初心者の筆者と一緒に、「憧れのポルシェ911の歴史」を学んでいきましょう。

↑インターメカニカ社が作るポルシェ356

ポルシェとは、ドイツのシュトゥットガルトに本社を構える、高性能スポーツクーペ・SUV・スポーツセダンを専門とする自動車メーカーです。創業は1931年で、自動車の生産が始まったのが1948年と言われています。現在ポルシェは、フォルクスワーゲンAGの傘下にあります。ちなみにフォルクスワーゲン・グループはポルシェだけでなく、アウディ・ランボルギーニ・ベントレー・ブガッティなど多岐にわたるブランドから自動車をリリースしています。

ポルシェはヨーロッパだけでなく世界中で、「最も権威のある高級車」として有名です。そしてポルシェのフラグシップであり象徴でもある911は、基本的なコンセプトを変えることなく60年以上も続く、唯一無二の存在です。車に詳しくない人でも、ポルシェといえば911が思い浮かぶのではないでしょうか。私的にはポルシェ911より美しい車はないと考えています。次の章は、1963年に誕生した911の前のモデルである、ポルシェ356について深掘りしていきたいと思います。

終戦から3年後の1948年、ポルシェの名を冠した最初のスポーツカーがリリースされました。その車が、ポルシェ356ロードスター。フォルクスワーゲン社製の1.1リッター空冷式水平対向4気筒エンジンが搭載されており、最高出力は35馬力。車両重量はわずか585kgで、最高速度は135kmの設定でした。初代356は屋根付きだけでなく、3種類のオープントップモデル(カブリオレ、スピードスター、ロードスター)を選ぶことができました。

1956年には、356の後継モデルとして356A(水平対向4気筒)が登場。排気量が1300〜1600ccの5種類のモデルが用意され、 356 A 1300の最高出力は44PS、フラグシップの356 A 1500 GSカレラは、最高出力が100PSでした。

その後、1960年には356Bが登場します。マイナーチェンジではありますが、ライトやバンバーなど様々なエクステリアが刷新され、見た目がよりシャープになりました。このモデルのエンジンが生む最高出力は、356 B 1600が60PS、356 B 2000 GS/GT Carrera 2では140PSにおよびました。

そして356の最後のモデルとして、1964年に356Cが登場。このモデルは1966年まで販売されるのですが、1963年にリリースされた初代911と時を共にして販売された車両です。外観は356Bとほとんど変化はないのですが、ホイールデザインの変化およびディスクブレーキになっています。60PS仕様は廃止され、新たに75PSを誇るB 1600スーパーのエンジンを導入。356 C 2000 GSカレラに搭載された最もパワフルなエンジンは、最高出力130PSを発揮しました。

*この情報は、ポルシェHPより抜粋しました。

1963年9月に開催されたフランクフルトモーターショーで、初めてポルシェ901が発表されました。901?911の間違いでは?と思うかもしれませんが、当初は901のコードネームがついていたのです。フランスの自動車メーカーであるプジョーが901という商標登録を持っていた為。ポルシェは911に改名することになりました。

初代911は、自然吸気の水平対向6気筒2リッターエンジンを搭載し、最高出力は130PS(日本での販売は1965年)。1967年には、エンジンパワーを20PS上乗せした911Sが登場します。そして時を同じくして、着脱式ソフトトップのカブリオレモデル「タルガ」の販売もスタート。1969年からはホイルベースが延長され、マイナーチェンジされます。いわゆるナローポルシェと言われるのが、1963〜1973年の時代の911です。そしてナローポルシェ最終年に、通称「ナナサンカレラ」と呼ばれた、”カレラRS2.7″ が発売され、人気を博しました。もうお目にかかることはなさそうですが、購入できるとたら1億5000万円以上の値がつくことでしょう。まさに博物館級のヴィンテージカーです。因みに「カレラ」とはスペイン語で競争という意味で、当時はレース用のマシンを指すモデルでした。

1974年から1989年まで販売されたポルシェ911の第2世代が「930」と呼ばれています。911の歴史のなかで、最も長く続いたのがこの930で、販売台数の多い米国市場に適合するために、衝撃吸収機能を備えた前後のビッグバンパーが特徴的でした。今も多くの人が思い描く911のスタイルが、この930ではないでしょうか。1977年までは、初代の901同様のナローボディ(2.7リッター)を採用し、最高出力260PSを誇る911ターボ(3リッター)も新たにリリースされました。1978年より930ボディにアップデートされ、ターボモデルは最高出力300馬力(3.3リッター)になります。モデル末期の1987年には、トランスミッションがそれまでの915タイプからG50型へと変更され、MT4速から5速へステップアップ。

930ターボ

1989年から1993年まで販売されたモデルが911第3世代である「964」。ボディは930を踏襲しながらも、基本排気量が3.6リッターに上がり高出力化します。全モデルから大きく変わった点が、カレラ4という4WDモデルができたこと、そしてMTモード付き4速AT車「ディブトロニック」仕様がリリースされたことでしょうか。後にカレラ2という2WDモデルや、1992年にはカレラRSという限定モデルがリリース。また964はエアロダイナミクスが優れており、フロントおよびリアセクションのフォルム、そして電動可変リアスポイラーの採用が寄与していると言われています。

1993年から空冷最後のモデル「993」が911第4世代としてリリースされます。993はボディサイズが大型化(3ナンバー化)し、基本排気量は3.6〜3.8リッター。カタログモデルとして、カレラ2・カレラ4・ターボ・RSがありました。またレース参戦のホモロゲーション獲得の為に、シリーズ初のターボ車をベースとしたスパルタンな仕様である「GT2」が初設定。そしてMTトランスミッションは5速から6速へ、ティプトロニックもSへアップグレードされ、ハンドルにパドルシフトが付くことになりました。

1998年から第5世代「996」モデルがスタート。年々厳しくなる排ガス規制に対応すべく、ここまで空冷を作り続けてきたポルシェが初めて水冷エンジンを導入したのが996です。そしてこの時期、経営不振に悩んでいたポルシェは、収益性を高めるためにミッドシップスポーツカー「ボクスター」と911の共同開発を行うことに。結果として、開発コストが下がりポルシェの収益化に繋がったのですが、996がボクスターと共通部品を使用したことなどが、一部のポルシェファンから不評を買うことになりました。初代から993まで続いていた丸型ヘッドライトのデザインが涙目になるなど、見た目のイメージも変わりました。しかしながら水冷化したことにより、基本排気量を3,4~3.6リッターに抑えながらも高出力化に成功します。サーキットや競技用モデルとして、ターボではく自然吸気エンジンを採用した「GT3」が初めて登場したのも996からです。

2004年から2011年まで販売された第6世代は「997」と呼ばれました。996で不人気だった涙目ライトが、従来の丸目へと返り咲き人気を博します。996時代と同様にボクスターやケイマンと共通部品を使っていますが、エクステリア(外装)に関しては911仕様になっています。997はカレラからGT3RSまで約30のモデルライナップがあり、より理想に近いポルシェを選んで買えるようになりました。そしてATは、従来のティプトロニックから自動7段変速の「PDK」に変更されました(後期)。この頃から、MTを操るよりもPDKの方が速く効率的に、ギア変速できるようになったと言われています。

2011年から911第7世代「991」にモデルチェンジします。997と比べてボディがワイドになり、車高が下がりました。またアルミとスチールを併用して剛性アップ&45kg軽量化(前モデル比)に成功。ベースモデルの6気筒水平対向エンジンは、排気量3.4リッターながら、最高出力は350PSを誇ります。3.8リッターエンジンは介したカレラS(ターボ)は、400PSです。トランスミッションは、MTが6速から7速になり、PDKは従来通り7速仕様を継続します。そして2015年の後期モデルからは、自然吸気のGT3以外、全てターボ車になりました。ターボを入れることでエンジンのダウンサイズ化に成功し、排気量は3リッターに。にもかかわらず、カレラのベーシック、S、GTSの最高出力は370、420、450PSとアップグレードされました。

そして2018年から現在までの続く第8世代が、「992」と呼ばれています。991らしいフォルムは継承しながらも、ヘッドライトはLED化&後部は横一文字のライトに変更されました。991後期でエンジンのダウンサイズ・ターボ化した為、基本モデルは3.0リッター水平対向エンジンを継続。ターボは3.8リッター、GT3のみ自然吸気(ノンターボ)の4.0リッターエンジンが搭載されています。トランスミッションはPDKが7速から8速へバージョンアップ。MT(7速)仕様車は、カレラT、カレラGTSおよびGT3だけになりました。992型の最大の特徴は、電子制御を駆使し安心で快適なスポーツ走行ができることです。次のマイナーチェンジではいよいよハイブリット化と言われていますので、ポルシェからMT車がなくなる日も近いかもしれません。

1963年にポルシェ911が誕生して以来、60年以上もポルシェのベンチーマークとして君臨し続けている911。ピュアスポーツカーというコンセプトは変わらないものの、時代の変遷と共に911は進化しています。ポルシェの格言として有名なのが、「最新のポルシェが最高のポルシェ」。しかしながら筆者は、最新の車やバイクよりも、一昔前の乗り物を好むようになってきました。そして昨今、ポルシェ911の全てのモデルの値段が上がっています。加えて、992のところでも述べましたが、大好きなMT車がなくなる可能性大です。この度911の歴史を詳しく勉強して、本当に手が届かなくなってしまう&なくなってしまう前に、憧れるのを辞めて、人生一度でいいからポルシェ911に乗ってみたいと思いました。ということで、ここでポルシェ911の歴史の回を締めます。ご購読有難うございました。

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2件のコメント

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  2. ピンバック:ついにポルシェ911 (997カレラS) のオーナーに - Imported motorcycle Lovers

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