第41回皆生トライアスロン参戦記 〜リレー編

スポーツ好きの皆様、トライアスロンというスポーツをご存知でしょうか?トライアスロン(英語ではtriatron)とは、水泳・自転車ロードレース・マラソンの3種目をこの順番でする耐久競技で、1974年アメリカで始まりました。トランアスロンのレースを完走すると、鉄人とかアイアンマンとか言われるので、少しはご存知の方も多いかと思います。実は管理人、約7年前からトライアスロンを始め、当時は3種目きっちり練習し、国内の数々のレースに出場していました。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大を受け、日本でのレースが軒並み中止になりました。目標を失った私は、トライアスロンの練習を辞めてしまい、そこからオートバイの世界に没頭することに。そして2023年、コロナ禍が収束し、トライアスロンの大会が再開されるようになりました。ですが、練習もしていない私がいきなりトライアスロンの大会に出場するのは、無謀でしかありません。そんな中、京都で一緒に練習をしていた先輩から、鳥取県米子市で7月に開催される ”皆生(かいけ)トライアスロン” にリレーで出場したいので走れるか?というオファーがきました。せっかくの先輩からのお誘い&ラン練習は少ししていたので、参加することにしました。というわけで今回はバイクの話題ではありませんが「第41回皆生トライアスロン参戦記〜リレー編」を書いていきたいと思います。

4年前の佐渡トライアスロンでの自身のゴールシーン

1. トライアスロンとは?

冒頭で少し述べましたが、「皆生トライアスロン参戦記」の前に、トライアスロンについて簡単に説明したいと思います。Triとは3つを意味しatronとは競技ということで、水泳・自転車・ランの3種目を競技するのが、トライアスロンです。日本で行われているトライアスロンには、距離別にショート・ミドル・ロングにカテゴライズされています。(ショートより短いスプリントもあります)

トライアスロン用のロードバイク

<距離(ディスタンス)>

ショート水泳1.5km、自転車40km、ラン10kmで競います。日本で最も多く開催されているのがショートディスタンスのトライアスロンで、51.5(総距離)と呼ばれます。普通の選手なら2〜3時間くらいで完走できますので、ビギナーはまずここから始める人が多いです。ちなみにオリンピックはこのショートディスタンスを採用しています。

ミドル:ミドルディスタンスはレースによって距離が違うのですが、水泳1.9km、自転車90km、ラン21kmで競います。ショートとは違い、5〜8時間を要するのである程度トレーニングが必要なディスタンスです。ロングに挑戦したい人は、まずはミドルのレースに挑戦するのが一般的でしょうか。

ロング:ロングディスタンスは日本で4拠点のみで開催されており、水泳3.8km、自転車180km、ラン42kmで競います。この距離を完走したらアイアンマン(鉄人)と呼ばれ、トライアスリートの目指す終着点と言われます。4月の沖縄/宮古島・6月の長崎/五島・7月の鳥取/皆生・9月の新潟/佐渡がロングの大会ですが、それぞれ距離が違います。

<1種目目のスイム>

トライアスロン1種目目のスイムは、海だけでなく、湖・池・川・城の濠など様々な場所を泳ぎます。スイミングプールのようにコースがあるわけではなく、目的地のブイに向かって一斉にスタートする為、バトル(揉み合い)もあります。また水温によるのですが、基本的にはウエットスーツを着て泳ぐことが多いです。

*城の堀を泳ぐ?:信じられないかもしれませんが、大阪城トライアスロンでは実際に大阪城のお濠を泳ぎます。

<2種目目の自転車>

水泳が終わったら、ウエットスーツを脱ぎ、バイクウエア&バイクシューズを身につけ、自転車競技がスタートします。トライアスロン用のバイクやロードバイクを使って巡行していきます。前を走る選手のすぐ後ろにつき風除けになる行為は、ドラフティングと呼ばれ禁止されています。審判に見つかったら、ペナルティ(3〜5分ストップなど)を受けてしまいます。

<3種目目のラン>

バイクが終了したら、バイクを規定の場所にセットし、ランシューズに履き替えてランスタートです。ランは、マラソンと一緒でゴールに向かって走るだけです。

このような感じで3種目、誰が一番早くゴールに辿り着けるかを競うのが、トライアスロンという競技になります。

2. 熊本〜鳥取・米子まで

さて少し寄り道をしましたが、皆生トライアスロンに話題を戻します。鳥取県米子市の皆生温泉が、今回のレースに会場です。熊本から鳥取までは遠いので、公共交通機関で行こうと思っていたのですが、バス・電車・飛行機では直行便もないため、かなり時間がかかります。仕方がないので、熊本から鳥取まで車で行くことにしました。距離にして550km・7時間以上の道のりです。

関門海峡を渡って九州から本州へ

トライアスロンは、大体どこの大会でもレース前日に受付・競技説明を行います。それらに出席していないと当日のレースに参加できません。皆生トライアスロンは土曜日の14時から受付の為、熊本を朝5時に出発しました。熊本→福岡→山口→広島→島根→鳥取の経路ですが、トライアスロン0種目目の高速ドライブは中々過酷でした。先輩にオートバイで来たらいいのにと言われましたが、バイクで550km走った後、自分の足で40km走るのは無謀ですよね(笑)長距離ドライブもトライアスロンだと思いながら、楽しんで目的地に向かいました。

3. 受付&開会式

休憩しながら約8時間かけて、鳥取県・米子市に到着。先輩達と合流し、会場の近くでお昼を食べました。その後、米子コンベンションセンターに移動し、受付・開会式・競技説明を受けました。何せトライアスロン大会に出場するのは4年ぶりなので、懐かしい面々に会えたり、レースの補給食やウエアを購入したり、楽しいひと時でした。

ゼッケン番号ごとに受付をします
開会式にはたくさんの人がいましたね
チームメイト3人と開会式会場前で記念撮影

4. 皆生トライアスロンについて

ここで皆生トライアスロンの概要を見ていきたいと思います。今年で41回を迎える本大会は、日本最古のトライアスロン大会と言われています。今回のレースはランの距離が42キロから40キロ短縮されたのですが、コロナ前のロングディスタンスに戻りましたね。

水泳が3km、自転車が140km、ランが40kmの合計183キロで競います。今回の参加者はソロ約1000名+リレーは49組です。本来は1人で183kmを走破するのですが、今回我々はリレーで出場します。H先輩が水泳パート、K先輩が自転車パート、そして私がランを担当します。アンクルバンドを三人で繋いでゴールを目指します。灼熱の皆生と言われるほど、気温が上がって過酷になレースになるのが、この大会の醍醐味です。そして皆生は、トライアスロン発祥の地としても非常に有名な大会です。

実は管理人、皆生以外のロング・トライアスロン3大会(宮古島・長崎五島・新潟佐渡)に出場したことがあります。皆生に出場することでロング4大会制覇することができるのが、非常に楽しみでした。前日の先輩達と飲み会で色々な話をしながらエンジョイし、ホテルに帰ってパタっと就寝しました。

*皆生トライアスロン公式HPはこちら

昨年の皆生トライアスロン・バイクパート(公式H Pより引用)

5. 皆生トライアスロン・スイムスタート

トライアスロン当日の朝は早いです。1種目目のスイムスタートが朝7時からなので、会場には6時前に入ります。まずバイクやランのセッティングをします。そしてウエットスーツを着て、皆生の海を試泳します。そして7時に号砲が鳴り、いよいよ皆生トライアスロンのスイムがスタートです。

スイムコースは上図のように、スタート地点から西向いて1.5km泳ぎ、一回上陸して東向きに1.5km泳ぐ、合計3km。数百人が一気にスタートするので、場所によってはバトルになります。我がリレーチームのH先輩は、バトルには強いのですが、太陽の光が眩しくてブイが見にくかったらしく、前半28分・後半34分の1時間2分でスイムアップしました。そして第2種目の自転車パート、K先輩にバトンを渡しました。

スイムスタート(山陰中央新報デジタルより引用)

6. 皆生トライアスロン・自転車パート

自転車コースは、アップダウンのある140キロが設定されています。特に皆生名物、大山(だいせん)の急坂はキツくて有名です。しかもこの日の天気は快晴、午前中から気温がぐんぐん上がり昼前には気温が33度を超えていたようです。照りつける日差しが選手達の体力をどんどん奪っていきます。暑さを凌ぐためにエイドに停まって、ボランティアさんに氷水をかけてもらったり、食べ物や給水でエネルギー補給します。

K先輩が自転車で必死に走っている中、私はトランジションエリア(自転車ゴール、ランスタート地点)に10時頃に到着しました。というのもリレーのラン選手達は、11時前に会場に集まるように言われていました。スイムやバイクで頑張っている先輩達に悪いなぁと思ったのですが、朝7時まで部屋で就寝し、ホテルで優雅に朝食を食べておりました(謝)ソロのトライアスロン(特にロングは早い)では4時起きは当たり前ですから、まるで貴族にでもなったようにのんびり過ごしました(笑)それでも、配信されているレース速報で先輩達の位置どりを常にチェックしていました。

そして11時にランの選手受付をして、スイムのH先輩とランチをしながら、自転車のK先輩が戻って来るのを待ちます。トライアスロンのリレーは初体験だったので、この仲間の帰りを待つという時間は不思議な感じがしました。

皆生トライアスロンHPより引用

12時を過ぎると、皆生大会2連覇している井辺選手など、続々と上位選手達が帰ってきました。そしてリレーの上位チームもバイクフィニッシュしていきます。そして14時半過ぎ、ついにK先輩がトランジションエリアに戻ってきました。何やら足を攣っているらしく、苦悶の表情を浮かべながらのゴールです。この猛暑のコンディションの中、自転車パート5時間半で戻ってきたのは、本当に凄いです。後から聞きましたが、今回は自転車でリタイヤする選手が例年に比べて多かったようですね。K先輩からアンクルバンドを受け継ぎ、いよいよ私のランパートがスタート。

アンクルバンドを受け取ってランスタート

7. 皆生トライアスロン・ランパート

14時半より、私の担当するランが始まりました。走り出しからとにかく暑いです。おそらく気温は35〜36度、熱中症警戒アラートが出ていると思われます。周りは自転車フィニッシュを終えた選手ばかりですが、スピードに乗って走っていく強い選手もいます。改めてトライアスリートって凄いなぁと感心してしまいました。そして自分も4年前までよくこんなことやっていたなと考えながら、足を動かします。スタート当初は米子市街を走るのですが、とにかく信号が多くて走っては止まる・走るの繰り返しです。そうなんです、皆生トライアスロンは信号を守って走らないと、ペナルティや失格になってしまう大会なのです。信号待ちは地味に体力を奪っていきますが、エイドでボランティアさんに冷たい水をかけてもらい、コーラで水分補給しながら距離を進めていきます。

ようやく米子の市街地を抜け、弓ヶ浜の海岸沿いに入ってきました。海を見ながら走るのは気持ちいいということはなく(汗)日陰もほとんどなくて只々暑かった記憶しかありません。それでも応援してくれる人やボランティアの皆様に励まされながら、エイド毎に冷水を被って、まずはランの折り返し地点を目指します。

海岸沿いの道が終わり、境港の市街地に入ると右折左折が多くて、これも地味に体力を奪っていきます。そして20kmの折り返し地点に到着しました!あと半分走ったらゴールできると、その時はテンション高めでした。そこから25km地点・30km地点では、チームメイトが車で応援に駆けつけてくれてました。この時はまだ元気で、このままいけばサブ4(4時間を切ること)できると目論んでいましたね。

25キロ地点まだまだ元気です
30キロ地点水かけてもらってますが、結構キツそうです

しかし現実はそんなに甘くありません。再び海岸沿いに戻ってきて、しばらくは快調に走っていたのですが、32km過ぎたあたりが左足に痛みが出てきます。そして33〜36kmまでは足首と太ももが痛くて痛くて、歩いたり走ったりを繰り返しました。ランしか走ってないのに、情けないと思いながらも身体が言うことを聞きません。もっと練習しとけば良かったとか、体絞らないとアカンかったとか、考えましたがそれも後の祭りです。それでもチームメイトが待っているので、遅いながらも停まることはなく、前へ前へ足を進めます。米子市街地に戻ってきて残り4km、再び気合を入れて走り始めました。ここまできたら足が痛いよりも気力が優ってきます。そして残り2kmで再び現れる信号待ち(汗)を勘弁してくれと思いながら、座って体力回復させました。そしてゴール地点の「どらドラパーク米子陸上競技場」が見えてきました。

8. 皆生トライアスロン・ゴール

陸上競技場のトラックに入ると、「ゼッケンNo.1010が戻ってきました」と場内アナウンスが流れます。ゴールは目の前です。K先輩とH先輩がスタンバイしてくれていて、3人でゴールテープを切ることができました。後でタイムを見てみると、サブ4目標だったのが、4時間28分要していました。でも暑い暑い灼熱の皆生トライアスロン、無事に3人でゴールできたので良しとしましょう。ボードの前で、明るいうちに記念撮影もできました。

真ん中の人(私)疲れ切っていますね

レースリザルトは以下の通りです。

ゼッケン番号:1010

総合タイム:11時間7分12秒;リレーの部9位(参加49チーム)

スイム3km:1時間02分40秒;リレーの部18位

自転車140km:5時間36分15秒;リレーの部12位

ラン40km:4時間28分17秒;リレーの部12位

今大会の完走率は68%(リタイヤした人が300人以上)だったそうで、猛暑の中の厳しいレースだったことを物語っています。ゴール後少し休んで、ホテルに戻ってお風呂に浸かり、米子駅前で反省会(飲み会)をしました。

9. まとめ・鳥取から熊本へ

翌日ゆっくりめに起床し、皆生のおーゆ・ランドで温泉&サウナを楽しみました。疲れ切った体に温泉と水風呂が染みましたね。その後、海の幸で有名な鳥取・境港の「美食倶楽部ぶっこん亭」で海鮮丼を堪能。ネタがこぼれ落ちそうなマグロ丼&海鮮丼を美味しく頂きました。

マグロが多すぎてシャリが見えません
これは海鮮丼6種盛り

ここで先輩二人と別れて、鳥取から熊本を目指す長距離ドライブの始まりです。疲れ切った身体で550キロ運転は過酷ですが、これもトライアスロンです。境港と松江を結ぶ「江島大橋」を渡ったところで、ここがあの有名な「ベタ踏み坂」だということを思い出し、写真を撮りました。

左の写真が自分で撮ったベタ踏み坂、右は対岸の大根島から望遠レンズで撮ったものを拝借してきました。とても同じ橋には思えませんが、撮り方によってベタ踏み坂になるということです。

その後松江から高速道路に乗り、広島ー山口ー福岡ー熊本と約8時間かけて自宅に到着。楽しい皆生トライアスロンの3日間が終了しました。この第41回皆生トライアスロン大会を開催してくれた関係者の方々、3000人を超えるボランティアスタッフ、そして応援してくれた方々に、改めて感謝したいと思います。

そして来年も皆生トライアスロンを走りたいかと言われれば、すぐにYESとは言えませんが、リレーで仲間と出場できて良かったです。また機会があったら、今度はしっかりと練習して望みたい、灼熱の「皆生トライアスロン参戦記」でした。ここまでご購読ありがとうございました。

*皆生トライアスロン公式HPはこちら

3年ぶりに走った熊本城マラソンの投稿↓

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