2月中旬にも関わらず「春一番」が吹き、九州地方では陽気な天候が続いています。先日はTシャツに革ジャンでバイクに乗れるくらいでした。いわゆる、暖冬という名の異常気象でしょうか。と思っていたらまた寒が戻り、冬が折り返してきました(汗)。とは言えもうすぐ3月、春がもうすぐそこに迫っており、ライダーにとって嬉しい季節が到来します。しかし花粉症の人は、これから暫くは辛いシーズン。私は、3年前に鼻の大掛かりな手術をしたので、目が痒い以外の症状がほとんどなくなりました。術後は大変でしたが、桜のシーズンに鼻が通っていて本当に快適です。花粉症の方には申し訳ないですが、今年の春は革ジャンにブーツ履いて、目一杯ツーリングを楽しみたいと思っています。
さて少し話は変わるのですが、革ジャンを着てバイクに乗る際、ボトムスは何を着用していますか?革ジャンに革パンを履いている人もいるのではないでしょうか。しかし自分は革ジャン・革パン・エンジニアブーツというスタイルになると、少しゴリゴリのバイカーすぎると思っています。なので最近はボトムスに革ではなくて、デニムを持ってくるようにしています。そして筆者の拘りは、インディゴ(ブルー)のジーンズ一択です。若い頃は、デニム好きでよくDCブランド(サンローランやヘルムートラングなど)のジーンズを履いていたのですが、バイクに乗り始めてバイクブランドのライディングパンツを選ぶようになりました。しかし今は植物タンニン鞣しの革ジャンを着るようになり、ボトムスにも経年変化を楽しめるジーンズを合わせたくなりました。ということで、今回は「革ジャンにブーツときたらデニムを履いてバイクに乗りたい」と称して、そのスタイルに似合ったデニム(ジーンズ)ついて色々お話ししていきたいと思います。
1. デニムとは
インディゴで染められたデニムは、今やカジュアルファッションにおいて欠かすことのできないアイテム。まっさらな濃紺、使い込んだブルー、どちらも違った魅力があります。我々は日々、デニム、ジーンズ、ジーパンと呼んでいますが、私はそれらの違いがわかりません。これを機会にそれぞれの意味を調べてみました。
◼️デニム:生地の種類。綾織の厚地の綿布のこと。デニム生地で作られた衣類を指すこともあります。
◼️ジーンズ:ジーンズのルーツは、ゴールドラッシュに沸く19世紀半ばのアメリカ西部、一攫千金を夢見る男たちのハードワークに耐え得る、頑丈なオーバーオールと言われています。日本には1960年代初めてアメリカから輸入されました。そしてジーンズはどういったものかと言うと、デニム地または他の綿生地で作られたカジュアルなズボンのこと指します。
◼️ジーパン:和製英語で、ジーンズパンツの略。
端的に言うと、デニムは生地、デニムを使ったパンツがジーンズ、その和製英語がジーパンということです。しかしながら現在のファッションシーンにおいては、デニム≒ジーンズ=ジーパンで使用されています。下記の写真2枚は、乱暴者のマーロンブランドと理由なき反抗のジェームスディーンですが、バイクに革ジャン、そしてデニムスタイルが本当にかっこいいですね。
2. ヴィンテージとは
次にデニムを語る上で必ずと言っていいほど出てくる用語が「ヴィンテージ」。私は全然詳しくないのですが、状態の良い当時モノは数百万円〜千万の値段がつくものもあります(驚)。まさに博物館級のデニム!!諸説はありますが、1850年代のゴールドラッシュを皮切りに誕生したジーンズが、1978年までに販売さ れていたものをヴィンテージジーンズと呼ぶようです。リーバイスで言えば、501XX、Big E、大戦モデル、66モデルなど、一度は耳にしたことあるのではないでしょうか。それらの状態の良いものは現在、かなり値上がりしています。とても庶民の私に手が出る代物ではないのですが、リーバイスや国内外のアパレルメーカーが復刻しているジーンズが数多あります。
復刻版のリーバイスS501XX1944年大戦モデル↓
3. この1年間で購入したデニム達
そんなヴィンテージは買えない私ですが、革ジャンを着てバイクに乗るために、新たに購入したデニム等を紹介したいと思います。そしてこのデニムのほとんどは、古着で購入しました。古着の方が、比較的安価に購入できること、色落ちがしていること、生地が柔らかくこなれていることなど、様々なメリットがあります。(但し古着で買うとなると、状態やサイズ選びは慎重に行う必要があります)
①SUGAR CANE(シュガーケーン)
SUGAR CANEは「サトウキビ」と言う意味で、日本に誕生した戦後初めての米国向け衣料メーカーです。シュガーケーンの生みの親である東洋エンタープライズ株式会社は1965年、米軍によるベトナム戦争への本格的介入を機に、日本の米軍基地関係者を対象として設立されました。当初は米軍向けの衣料製造と共に国内への米軍サープラスの流通窓口としての展開も行い、ベトナム戦争が1975年に終結すると完全な国内向けの衣料メーカーへと転身。その際、米軍基地に駐屯していた将校によって「SUGAR CANE」と名付けられます。シュガーケーンの誕生は日本でありながら、米軍基地を相手に育っただけにその精神も物作りのノウハウもアメリカ仕込み。当時から現在に至るまで、アメリカンスタイルのシンボルとも言えるデニム素材を中心とした本場仕込みのワークウエアを作り続けています(以上東洋エンタープライズのSUGAR CANEより引用)。
・Lot.901 ロンスター
そんなSUGAR CANEのデニムの中から、Lot.901のロンスターを選びました。このデニムは、1950年代のヴィンテージのディテールを踏襲し、シルエットに改良を加えたロンスター(エイジング加工デニムシリーズ)の定番。 所有者がリペアを施しながら10年着用したというイメージのもと、各部のダメージの度合いも補強布の使い方も個々に変化を持たせています。 一般人のエイジングではとても真似できない、美しいヒゲや蜂の巣が出ており、お気に入りの一本です。
こちらは中古で購入したW33L33サイズです。ウエスト約84cm股下29cm股下79cm、177cm75kgの筆者の体型にシンデレラフィットでした。後ろポケットの白いワンスターがいい感じです。
・1943大戦モデル
そしてつい先日発売されたばかりのSUGAR CANE最高傑作と言われているのが、1943大戦モデル(復刻)です。ヴィンテージの大戦モデルが忠実に再現されており、非常に気になるデニムです。本物のヴィンテージと比較した動画を貼っておきます↓
1943大戦モデルがまだネット販売に上がっていないので、1946モデルをどうぞ↓
②FULLCOUNT(フルカウント)
様々なジーンズブランドにて経験を積んだ辻田氏が1992年に創設したのFULL COUNT。“家に帰っても寝るまで脱ぎたくないジーンズ”をコンセプトに、素材には上質綿として知られる「ジンバブエコットン」を採用。素材を生かすアプローチ、1940~1950年代の古き佳き米国デニムへの傾倒により“普段着”としてのジーンズの方向性を明確に示したデニムブランドです。
30年以上フルカウントが愛される理由の1つが、ジンバブエコットンの存在。ジンバブエコットンは、主にアフリカ南東部で栽培される、世界でも有数のオーガニックコットン。繊維を傷つけないよう人の手で収穫される綿花は細く均一で、一本の繊維長が長いことから超長綿と呼ばれ、継ぎ目のない甘撚りの丈夫なムラ糸を作ることが可能とされています。それが抜群の軽さ、柔らかさ、伸縮性を生み、本当に体に馴染むフルカウントの真髄だと思います。
もう一つの理由はフルカウントが作り出すシルエットの美しさにあります。今回は、フルカウントを代表する2つのモデルを紹介していきます。
・#0105
フルカウントの中でも一番太いストレートモデルが#0105。やや深めの股上に、腿周り、お尻周りにゆとりが入り、膝から袖に向かってややテーパードがかったシルエットになっています。非常に履きやすく、フルカウントの中でも最も人気のあるモデルの1つです。
・#1108
続いては#0105より細みのストレート#1108。ウエストから腿周りにかけてはある程度フィット感があり、膝から裾までは若干テーパードしているシルエットです。細みは好きだけどスキニーはちょっとと思う方は、#1108がベストかと思います。
私は今回#1108のW33を購入してみました。こちらも中古で購入したのですが、ウエスト84cm股下78cmで少しキツイくらいでした。しかし洗濯して2, 3日履いていると、ジンバブエコットのブーストが入ったのか、どんどん体に馴染んできます。そして履き始めて1週間経過した頃には、完全に自分の身体に馴染んでストレスなく履くことができました。恐るべしフルカウント、履いた感じのラインが綺麗で最高に心地よいデニムです。
③HIGHWAY NINE(ハイウェイナイン)
筆者がHIGHWAY NINEというブランドを知るきっかけとなったのが、革ジャンに合うサーマルTシャツ。そのTシャツは短めの丈感が絶妙で、革ジャンとマッチします。そんなHIGHWAY NINEがもう一つ力を入れているのがジーンズ。北海道・帯広でFine Creek LeathersやFountainhead Leathersなどを扱うショップ「Danny」の代表のリッチモンド河合氏が、すごくスタイリッシュにHIGHWAY NINEのブッシュパンツを着用していたので、一度履いてみたくて購入しました。
ブッシュパンツとはワークパンツの一種で、ブッシュ(藪や茂みのこと)を掻き分けて進むイメージから名付けられました。左右のポケットとは別に、腿上に大きなリベット付きのポケットがついているのが特徴になります。上述のフルカウント#1108よりも一回り細いシルエットですが、新品を徐々に馴染ませていくことを楽しんでいる最中です。
よりUSEDな風合いのブッシュパンツが欲しい方はこちらも↓
④IRON HEART(アイアンハート)
「古きよきアメリカのライフスタイルに尊敬と憧れを込め、そこにクラフトマンとしての誇りと技術でバイク乗りのためのアイテムを作ります」、これが2016年に設立されたアイアンハートのモットーです(アイアンハートHPより抜粋)。そしてアイアンハートと言えばデニム、しかも古くて新しくてゴツくて強靭なジーンズ作りに定評があります。
筆者も一人のバイク乗りとして、ヘビーオンスのデニムが欲しくてアイアンハート634・21オンスを中古で購入しました。全オーナーがだいぶ履き込んでくれたおかげもあって、ヘビーオンスながら適度に柔らかくかなり色落ちしています。リジットから履く人には少々硬さに苦労するかもしれませんが、育て甲斐のあるライダー向けのジーンズだと思います。
4. ブーツスタイルによるデニムの履き方
最後に、プルオンブーツ(紐のないエンジニアやローパーブーツ)にデニムを合わす方法を見ていきたいと思います。普通に履くのも勿論かっこいいのですが、ブーツとデニム両方を際立たせる履き方が気に入っています。
A. ブーツイン
まずプルオンブーツ+デニムスタイルの王道と言えるのが「ブーツイン」。やり方は簡単でデニムの裾をブーツの中に入れてしまうだけです。このブーツインはバイクに乗った時、ブーツが際立つだけでなく脚長効果もあります。
B. ハングロール
続いては、モヒカン小川氏から伝授してもらった「ハングロール」。デニムをロールアップし、エンジニアブーツのストラップに引っ掛けて履く方法です。前述のブーツインがかっちりしているのに対して、ハングロールは膝下にたるみが出て抜け感が出るので、使い分けて合わせてみるのも良いかと思います。
C. ロールアップ
最後に紹介するのが、これも王道スタイルの「ロールアップ」。しかし王道でありながらデニムのロールの幅やブーツをどこまで見せるかのバランスが一番難しいと思います。エンジニアブーツの場合は、左の写真のように思い切ってブーツが1/3くらい見えるようにロールアップするのが、スタイリッシュかもしれません。
5. バイク乗りにとってのデニムとは・・・
今回は、デニムのルーツを少し学び、「革ジャンとブーツに合わせる私のデニム」をいつか紹介させて頂きました。まだまだ気になるデニムブランドが沢山あるので、デニム第2弾を今後ポストしていきたいですね。そして復刻のデニムを見ているうちに、少しヴィンテージにも興味が出てきたので(買えないですが)、これから色々勉強していきます。革ジャンと同じようにデニムも非常に奥が深く、なかなか沼が深そうです(笑)。そして革製品とデニムに共通して言えること、それは「エイジングを楽しみながら育てる」ことができるアイテムだということです。私の愛車BMW旧車カフェに似合うように、デニム達も旧車風に育てていこうと思います。やはり革ジャン・ブーツ・デニムは、バイク乗りの3種の神器です。ここまでご購読有難うございました。
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