革ジャンを着れる期間が年々短くなっていませんか?

これを書いているのは6月某日(ちょっとプログアップが遅い)、今年は例年よりも早く梅雨が明けてしまいました。前月の5月は季節でいえば春なので、革ジャンベストシーズンのはずでした。しかしながら今年の九州(本州も同様)は、5月でもすごく暑い日が続き、街中では革ジャンを着る気になれません。阿蘇などの山間部にバイクで行く時には革ジャンを着ていくと、朝は涼しいので快適ですが、お昼以降に下山する際は革ジャンでは汗だくになってしまいます。レザーどころかデニムジャケットでも暑いと感じる日もあるくらいです。そして6月の九州は、最高気温は高い日で35℃、まさに真夏日です。これは地球温暖化の影響を感じずにはいられない状況ですが、革ジャンラバーにとっては「レザーを着れる期間が年々短くなっていること」を意味します。ということで今回は、「革ジャンをいつどうやって着ていけば良いか?」&「革ジャン選びにも工夫が必要?」の2つのテーマで、ポストしていきたいと思います。

我が家のサイクロンとBeta

・革ジャンとは

革ジャンとは、革製のジャケットのことで、英語ではレザージャケットと言われています。革ジャンに使われる素材は、牛、馬、鹿、山羊などを使った天然皮革と、フェイクレザーを使った合成皮革があります。革ジャンの主なルーツは、バイクに乗るためのライダースジャケット及び軍用のフライトジャケットです。特に筆者が好んで来ているライダースジャケットは、バイクに乗るために堅牢で風の侵入を防ぐような作りになっています。例外として、革に穴が開けてある、通気性の良いパンチングレーザーのジャケットもあります。

そんな革ジャンのメリットは、❶耐久性が高く、長年着ることができる、❷天然皮革の革ジャンは経年変化(エイジング)を楽しむことができる、❸革ジャンを着用するとクールな印象になる(特にクラシックバイクにはマッチングする)などがあります。対して革ジャンのデメリットは、❶値段が高い、❷重量が重たい、❸手入れする必要がある、そして❹着れるシーズンが限られていることではないでしょうか。値段が高いのに日本で着れるシーズンが限られている革ジャンは、今後どうなっていくのか考察していきたいと思います。

↓以前購入した666とY2レザーの革ジャン

・革ジャンの着用シーズン

それではまず、革ジャンが着用できる時期(寒冷地を除く)を細かく見ていきたいと思います。

冬(12〜2月):気温が低いので革ジャン単体では、正直寒いです。革ジャンの上からアウターを羽織るか、インナーに厚手のモノを着る必要があります。

春(3〜5月):日によっては革ジャンは快適な季節です。但し近年の3月は寒かったり、5月は暑すぎたりするので、春でも革ジャンが快適だとは言えないです。

夏(6〜9月):気温が高いので、基本的に革ジャンは着れません。通気性のあるパンチングレザーは着れるとの意見もありますが、正直言うと夏は「革ジャン」はやめておいた方がよいでしょう。

秋(10〜11月):秋は革ジャンのベストシーズン。しかし近年10月が夏のように気温が高い、11月が冬のように寒いといった異常気象を感じる年もあります。

といったように、革ジャンを快適に着れるシーズンというのが、年々短くなっているように思います。とあるファッション雑誌には、ストレスなく革ジャンを着れるのは年に1ヶ月もないと書かれていました。それでも革ジャンが好きな筆者は、どうすれば1日でも長く革ジャンを着れるか常に考えています。

・それでも革ジャンを着たければ、どうすれば良いか?

▪️革ジャンのスタイル変更

筆者の好きなスタイルは、Tシャツ1枚の上にジャストフィットするサイズ感の革ジャンを羽織ることです。何故かと言えば、革ジャンをピタピタで着た方がスタイルがよく見えるし、エイジングも進みやすいからです。特にライダースはダボっとしていると、野暮ったい印象になってしまいます。しかしながら前章でも述べた通り、革ジャンを着れるシーズンは年々短くなってきています。1年の中で大好きな革ジャンをより長く着るには、革ジャンのスタイルを変えるしかないと考えています。それは、革ジャンの厚みや革の種類、そして革ジャンのサイズ感の概念を変えることに他なりません。

愛車BMWとルイスのサイクロン

▪️革ジャンの厚み

筆者の所有している革ジャンの厚みは、メーカーや革ジャンの種類によって、微妙に違います。

・ルイスレザーズのサイクロン:ホースハイドの1.1〜1.3mm

・ファインクリークのレオンカスタム:ディアスキンの2.6mm

・ファウンテンヘッドレザーのBeta:ホースハイドの1.5mm

・天神ワークスのJS01:カウハイドの1.4mm

・Y’2 LEATHERのIB-140:ホースハイドの1.3mm

革の厚みは、ルイスレザーのサイクロンが最も薄く、ファインクリークのディアレオンが最も厚い作りになっています。無意識に、今日は少し暖かいなと感じる時にルイスを選択し、寒いなと感じる時にレオンを選んでいます。加えて、革の厚さだけでなく裏地の素材やも関係があります。筆者のルイス・サイクロンは裏地がブラックニットナイロンなので、少し清涼感を感じます。逆に一番裏地がゴツいのは、レオンや天神ワークスで、暑い時期に着ようとは思いません。

革の厚みについて極端な方向へ舵を切ってみましょう。真夏ではない暖かい時期には、できる限り革を薄く漉いた革ジャン(0.7mm厚とか)を着る、もしくは穴の空いたパンチングレザーを選ぶことでしょうか。そして極寒の時期には、B3などのムートン素材やインナーにボアが入ったタイプの革ジャンを着れば、革ジャン単体で寒さを凌ぐことができます。

▪️革の種類

続いては革の種類です。革ジャンによく使用される革は、カウ(牛)・ホース(馬)・シープ(羊)・ディア(鹿)・ゴート(山羊)などです。仕上げ方にもよりますが、これらは革の硬さ(柔らかさ)が異なっています。柔らかい順に並べていくと、シープ・ゴート・ディア・ホース・カウでしょうか。バイクに乗る時には、無意識に、暑い時期には柔らかい革、寒い時期には硬い革を選んでいます。革の種類も季節感を感じる上で、重要なファクターであると言えます。

ファイクリークのレオン 右が馬、左が鹿

▪️サイズ感

次に、サイズ感について考察していきます。サイズ感は関係ないように思うかもしれませんが、インナーに厚手のモノが着れたり、アウターにコートなどを羽織れるという意味で、非常に重要です。ということは、筆者が考えるジャストサイズで革ジャンを着るという概念を崩すことになります。しかしながら、近い将来日本には四季がなくなり、夏と冬しかなくなるのではと言われてしまうとそんなことも言っていられません。

寒く感じる時期は、革ジャンのインナーにスエットを着て、アウターにコートを羽織りましょう。但し、レイヤードしすぎることは厳禁です。それはゴワゴワになって動きにくくなってしまうからです。少し寒いくらいなら、レザーダウンなどのベストを羽織るのもアリです。またバイク乗りには当たり前になっている、電熱ベストをインナーに仕込むのも暖が取れるのでオススメです。

詳しくは過去の投稿↓を参照して下さい。

そして肝心なサイズ感ですが、インナーに厚手のモノを着るのであれば、いつもの1サイズから2サイズ上を選んでみましょう。但し、革ジャンがあんまり大きすぎるのは見た目が良くないのでサイズ選びは慎重に行うことです。レザーコートとかならオーバーサイズでもカッコよく着れるとは思いますが。それでもサイズ感ってブランドによって違うので、お店に言って試着することをオススメします。

▪️夏はきっぱり諦める

補足として、夏は革ジャンを諦めることにしましょう。バイク乗りの中には、年中革ジャンを着て、革がライダーを守ってくれるから1年中着ると言う特殊な信者がいます。またパンチングレザーで凌ごうとするライダーもいます。しかし昨今の日本の夏は38℃を超えてくる日もあるので、革にこだわりすぎると正直熱中症で倒れることに・・・。絶対的にメッシュジャケットの方が、快適にバイクを運転できます。それでも普段使いでレザーを身につけたければ、レザーベストをオススメします。

↓ショットのレザーベスト

・革ジャンのスタイルを変えるアイテム

この章では、前章でも少し触れた「革ジャンのスタイルを変えてみる」というテーマでいくつか紹介して行きたいと思います。

寒い時に着る革ジャン>

まずは寒い時に着る革ジャンについてです。筆者は王道のライダースやGジャンタイプしか持っていませんが、革ジャンは他にも様々なタイプがあります。冬の寒い時期にTシャツにライダースではとても乗り切れませんが、下記のアイテムなら寒さを凌ます。

・ムートンジャケット(B-3)

前述の通り、1枚で冬の寒さを凌ぐなら、B-3のフライトジャケットがオススメです。近年レザーの中でも、ムートン(羊毛)の値段が上がっており、B-3は高騰しています。最初に紹介するのは、ミリタリーブランドAVIREXのB-3です。

AVIREXのB-3は30万弱するので、もう少し安価なモノを狙うなら、ヒューストンでしょうか。作りはリアルマッコイズやアビレックスよりはチープですが、ヒューストンも歴史のあるミリタリーブランドです。

・熊ジャン

熊ジャンというレザージャケットをご存知でしょうか。正式名称はグリズリージャケットと言って、1930年代に見られたスポーツジャケットです。名前の由来は、熊の毛皮のようなムートンを襟や袖口に使用していることから、または熊狩りの際に着用されたことから、など諸説あります。現行品として、ビルトバック、Y2レザー、ジェラード、ファインクリーク、そしてダブルヘリックスなどが熊ジャンを販売しています。

・レザーダウン

寒さを凌ぐ最終兵器はやっぱりダウンジャケットでしょうか。革好きならレザーダウンに挑戦して欲しいところです。筆者は以前、バイク用にKADOYAのレザーダウンを愛用しておりました。風防と暖かさ両方を満たすには、レザーダウンが最強です。少し重いのを我慢すれば、冬でもレザーで快適にバイクに乗れること間違いなしです。

<比較的暖かい時(夏以外)に着る革ジャン>

筆者の中で革ジャンの一番の用途といえば、バイクに乗るための正装です。その為、寒さというよりは防風に重きを置いているジャケットが多いです。しかしながらその防風機能が、暑い時期には仇となります。ここは考え方を変えて、比較的暑い時期に革ジャンを着るためには、薄手の革ジャンやパンチングレザーに頼ってみてはどうでしょうか。

・薄手のオススメの革ジャン

雑誌Lightningの別注企画で、ファインクリークレザーズからホースハイドを極限の0.7mmまで漉いた「ウルトラライトレオン」が期間限定で販売されていましたが、今は購入することができません。

いわゆる革ジャンブランドは、薄いモノをあまり作っていないのが現状です。しかしながら、ファッションブランドは薄手の革ジャンをお洒落着として、リリースしています。その中から、イタリア製の極薄のナッパレザーライダースEMMETIを紹介します。この商品はラムレザー(羊)とポルエステル&ポリウレタンを結合させて作っているので、非常に薄く軽い革ジャンに仕上がっています。

次に紹介するのは、KADOYAのパンチングレザージャケットです。カドヤが採用するパンチングカウは1.3~1.5mm厚の艶有り牛革に、2mm径の通気孔を設けた皮革です。通気性も考えながら強度も絶妙に保っているので、比較的暖かい季節でも快適にバイクに乗ることができます。

・まとめ

我々レザーラバーにとって地球温暖化&寒冷化は死活問題で、このままでは革ジャン離れが進んでいくしかありません。そういった状況の中、あえて暑い夏の始まる時期に「革ジャンを着れる期間が年々短くなっていませんか?」というテーマを掲げ、ここまで考察してきました。革ジャンの選び方や着こなし方を少し見直せば、1日でも長く革ジャンを着れることが分かってきました。筆者自身も、これからは革ジャンの固定概念に捉われず、色々な革ジャンを着ていきたいと思っています。またサイズ感の概念も変化させ、革ジャンと他のウエアとの共有をもっと図っていきたいです。また新しいモノを見つけたら、当ブログでも取り上げていきたいので、これからもご購読よろしくお願いします。まだ革ジャンとは無縁のサマーシーズンが始まったばかりですが、早く革ジャンを着てバイクに乗れるシーズンにならないかなぁと思いながら、今回は締めたいと思います。

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