我が家にポルシェ911がやってくるはずでしたが・・・

車好きの皆様、憧れの車はありますか?以前「憧れのポルシェ911の歴史を学ぼう」というポストをさせて頂きましたが、筆者の憧れの車は、紛れもなく「ポルシェ911」です。人生で一度でいいからポルシェに乗ってみたいと、車の免許を取った頃からずっと思い続けてきました。一時期はSUVを乗り継ぎ、バイクを積むためにハイエースという箱車にいきましたが、中年になってもやはり乗りたいのはポルシェです。ハイエースは荷室空間の広さや積載性を重視しているのもあって、トラックを運転している感覚があります。お世辞にもドライブが楽しい車ではないので、ドライビングプレジャーを感じる一台が欲しいと考えていました。そして、大谷翔平選手ではありませんが、そろそろ “ポルシェ911を憧れるのをやめましょう(笑)” と考え、真剣に自分自身が乗れる(購入できる)ポルシェを探すことにしました。というわけで今回は、ポルシェ911を探すところから納車までをお届けしたいと思います。こんな感じでテンション高めに書いていきたいところでしたが、実は一筋縄ではいきませんでした。気になる方は読み進めてください。

筆者は年収一億円ブロガーでもなければ、お金持ちでもありません。ご存知の方も多いとは思いますが、ポルシェ911は高級車の部類です。新車の911(992型)を買うとなれば、ベースグレードでも1700万円以上します。にもかかわらず人気が高くて、注文しても1年以上かかります。せっかちな関西人の筆者は1年以上待てないですし、ましてや1700万円も捻出できないので、必然的に中古車一択になります。

冒頭にも書いたように「憧れのポルシェ911の歴史を学ぼう」という投稿で歴代の911を紹介したのですが、ポルシェは古くても新しくても、現在価格が上昇しています。初代901や2代目930は、数千万円から1億円以上の値がついています。3代目964・4代目993の空冷モデルも、ここ数年でかなり高騰しており、マニュアル車なら安くても1500万円以上です。但し、過走行車や事故車など相場よりは安いモノもあるのですが、修理や部品交換などやはりお金がかかります。

かなり高騰している930ターボ

現行の992型から数えて1世代前の991型は、球数もなく値段も新車を超えてきています。あえて値段を言うなら2000万円スタートといった感じでしょうか。60年以上の歴史を誇るポルシェ911は、本当にどの世代も高いのですが、一般人がまだ狙えるモデルは、空冷と991の間に販売されていた996(1998〜2004年)と997(2004年〜2011年)の2モデルでしょう。

996は、ポルシェ空冷最後の993から水冷に取って変わった1発目のモデルです。長い911の歴史の中で、唯一丸目ライトでなかったこともあり、ポルシェ911の中では不人気モデルでした。そういった要素もあり、値段は911にしてはまだこなれています(それでも5年前からしたら値段は上がりました)。筆者の大好きな左ハンドルMT車でも、ベースグレード450〜600万円くらいで販売されている車両があります。

(上)996(下)997

997は996型の次の世代で、ライトは従来型のような丸目に戻りました。996より少しボディーもワイドになり、見た目がシャープになった印象です。お値段の方は996よりは高いのですが、左ハンドルMT車・ベースグレードで650〜800万円くらいが相場です。996・997共に、カレラ4・4S・ターボ・GTSとグレードが上がることに価格も高くなります。

筆者は歴代911の中で一番手が届きやすい996型に絞って、ネットで探してみることにしました。

カーセンサーやグーネットでポルシェ911の996型・左ハンドルMT車で検索します。ヒットするのは、特別仕様のGT3やGT2を除くと数件のみです。色々調べていくと、マニュアル車が市場にかなり少ないようで、ティプトロニック(いわゆるAT)仕様なら色々選べます。まずは450万円で掲載のあった996後期・白のカレラMT(GT3ルック)の問い合わせをしてみました。すぐにお店から返信が来て、在庫もあるとのこと。しかしながら結構イジって走り込んでいる感じのする車両、お店が千葉だったのもあり、それ以上話は進めませんでした。

上の車両に並行して、九州でポルシェの中古車を持っている車屋さんがないか調べていました。熊本には、ポルシェセンター(ディーラー)以外、ポルシェを扱っている店はほとんどありません。福岡にはいくつかありましたが、996カレラの左MT車は見つかりませんでした。そんな中、熊本の隣県である大分県で、996カレラを1台見つけました。2003年式の黒のカレラ左MT車で、走行距離も5.9万キロ、状態も良さそうに見えました。

早速、ネットで問い合わせてみたところ、在庫もあるとのこと。7月上旬に現車確認に行く予約を入れました。いよいよ待ちに待ったポルシェ911に対面できるので、週末が非常に楽しみでした。

そして7月第1週目の週末、熊本から愛車ドゥカティ848に乗って、大分の車屋さんを目指しました。お隣とはいっても熊本市から大分市までは結構距離があります。しかも道中は高速道路が通っていません。バイクなのでツーリングがてら、ミルクロード→やまなみハイウェイ→中九州道を通って行くことにしました。朝方は涼しかったのですが、7月とはいえ大分市内の最高気温は35℃になっていました。7時に熊本を出発して、大分市の車屋に到着したのは10時半。暑さと渋滞で意識が朦朧としていました。ここで一つ教訓なのですが、夏季にバイクで車を見にくのはオススメしません(笑)。

瀬の本レストハウスで休憩

ドゥカティ848を停めて、車屋の社長と挨拶&談笑後、いよいよ実車確認。ポルシェ以外にも沢山の欧州車を扱う車屋のようで、店内には他の目ぼしい車両もありました。しかしガレージに用意されていた、黒のカレラMT(ベースグレード)は私の中では他を寄せつけない雰囲気がありました。22年前の車ですので、少々やれたところもありましたが、比較的綺麗な状態の996。ポルシェによくある内装のベタつきもありません。エンジンも1発始動で、混じりっ気のないポルシェ水平対抗のエンジン音を奏でてくれました。

その後、クーラーの効いたルームに移動して、商談開始。直感的に、この996カレラは買いだと思いました。車屋の社長は、うちは日本で有数に996を扱っていますと説明があり、996の楽しさを力説。この車両は車検切れだったので、車検込みの値段をまずは提示。その後、ディスカウントした見積もりを再提示してもらいました。私にも出せる納得いく金額(520万円)だったので、この996カレラを購入することにしました

996カレラと一緒に記念撮影

そのあと、郵送されてきた契約書にサインをし、カレラの代金を一括で振り込みました。印鑑証明・車庫証明・委任状を用意し、車屋に郵送。7月末には車検も無事終わり、車検証も上がってきました。あとは最終整備&チェックをして、納車を待つばかりです。車屋の社長が言っていた通り、8月盆前に996カレラに乗れると思うとワクワクが止まりませんでした。

友人に熊本から大分まで車で連れて行ってもらい、帰りはポルシェ911を運転して帰るプランでスタンバイ。しかし、納車前の最終点検でオイルレベルセンサーの警告灯がついたらしく、お盆前の納車は一旦無しになりました。お盆明けに注文した部品が届き、交換したのですが、それでも警告灯は消えません。メーターごと専門業車に出すも、部品(基盤)がない為、修理できませんとのこと。言われた通りただ待つしかない、そんな日々が続きました。

しかしその後、いつになっても納車されないMY996カレラ。初めて996カレラに出会ってからもう2ヶ月が経とうとしていました。お金も一括で払っている、車検は7月に取得、駐車場も新しく契約したのに、車どころか連絡も来ません。9月に入ってこれはダメだと思い、車屋の社長に電話しました。

私:996は一体、いつになったら納車されるのですか?

車屋の社長:申し訳ありません。部品がないので今作業が止まっています。

私:そしたらその部品はどこにあって、いつ直るのですか?996カレラという希少車でもない車の基盤はどこにもないのですか?

車屋の社長:基盤が見つかりません。メーターごと海外に送って、修理してもらう他ありません。

私:海外にメーターを送る?そんなことしてたらいつになるかわかりませんよね。

車屋の社長:いつになるかわかりませんが、待ってもらうしか方法がなくて・・・。

私:わかりました。納車されない以上、キャンセルも考えさせてもらいます。また連絡します。

と言って電話を切り、ポルシェに乗っている友人達に色々相談しました。警告灯がついてるからといって996が走らないわけでもないけれど、決して良い気はしないし、次の車検時や売却する時に困ることになります。基盤をいじるとなると、他の機構まで悪くなる可能性もあります。今すぐにポルシェ911に乗りたい気持ちを抑えながら、ついに決断することにしました。

その決断とは、「注文をキャンセル」することでした。警告灯ついたまま乗るわけにはいかない、海外に送って修理すると言ってもいつになるかわからない、そしてそもそも直るかどうかも怪しい、といったことを考察すると、この車両は乗らない方が良いと判断しました。正直いうと、「996を日本で有数に扱うポルシェのプロだったら、バシッと直さんかい!!」と思いましたが、すぐに直せない車屋にこれ以上言っても仕方がないので、今回は見送ることにしました。思えば7月、憧れのポルシェ911を即決購入し、約2ヶ月楽しみに納車を待ち続けましたが、残念ながらこの996に乗ることは叶いませんでした。

それでも、色々なポルシェを見てポルシェを学ぶことができました。そして991やボクスターのことを、先輩方から色々教えてもらうこともできました。ここから次のMYポルシェに出会うことを夢見て、車を探していきたいと思います。またこのブログを通じて、報告できたらと思っております。

↓早速先週末、某所で987ボクスターSを視察してきました

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