バイクのタイヤを知ろう!

ライダーの皆様、1月下旬は日本全土に寒波到来し、バイクに乗れなかったのではないでしょうか。2月に入って九州地方の寒は和らいだと聞き、ドゥカティ848に跨り阿蘇を走ってきました。空は雲一つない晴天だったのですが、道路には雪が残り凍結している箇所もあり、阿蘇に来たことを少し後悔しました(汗)二輪車での雪上運転に全く慣れてない管理人は、ビビり散らかしながら何とか目的地まで辿り着きました。

真冬の阿蘇・箱石峠を走りました

そんなバイク初心者の管理人ですが、バイクの運転がもっと上手くなりたいと常日頃から考えています。上手くなるためにはまずバイクの仕組みや構造を知ること、そしてバイクをどう扱うかが大切です。今回は、バイクの中で唯一地面に接地しているタイヤについて、色々な角度から検証していこうと思います。

1.タイヤは何でできている?

黒くて丸くて地味な存在ですが、バイクパーツの中で実は最も重要な存在であるタイヤ。まず最初は、二輪車用のタイヤはどのような素材でできているか説明していきます。

タイヤの表面の素材は、ゴムの木から加工された「天然ゴム」と石油精製品ナフサから作られた「合成ゴム」を混ぜ合わせて、補強剤(カーボン・シリカ・硫化剤・柔軟剤)で調合して作られています。タイヤの黒い部分は、カーボンブラックの色です。

タイヤの内部ですが、ゴムだけでなくポリエステル・ナイロン・レーヨン(カーカス部分)や、スチール(ベルト部分)および高炭素鋼(ビート部分)で作られています。

スラクストンRのタイヤも天然ゴムと合成ゴムでできています

2.タイヤの構造とは?

次にタイヤの構造を見ていきましょう。タイヤの見た目は黒いゴムという感じですが、内部に色々なものが詰まっています。そして各々に役割があり、それらがバランスを保ちながら私たちが乗るバイクを支えてくれています。

❶カーカス:タイヤの骨格を形成するコード層で、内部の空気圧を保持し、タイヤが受ける荷重・衝撃に耐えます。

❷トレッド:路面に直接接している部分で、カーカスを保護します。タイヤメーカーやグレードによって様々なパターンのものがあり、摩耗耐久やスリップ防止に役立っています。

❸サイドウォール:走行時にたわむ部分で、カーカスを保護しています。伸び縮みがスムーズにいく構造になっています。

❹ビード:タイヤをリムにしっかりと固定する部分。

❺ビードワイヤー:強力なピアノ線を何本も重ねて、空気圧によるカーカスの引っ張りを受け止めます、

❻ベルト/ブレーカー:剛性を高める為に、トレッドとカーカスの間に入れる補強コード層。

❼インナーライナー:内側の空気を包む役割をする部分で、チューブの役割をします(チューブレスタイヤのみ)

タイヤ交換をしている時ですら、タイヤがこんなに沢山のパーツから成り立っているとは考えられませんでした。まさにタイヤは縁の下の力持ち的存在ですね。

3.ラジアルタイヤとバイアスタイヤの違いは?

バイクのタイヤにも大きく分けて2種類あるのはご存知でしょうか。現在のバイクのタイヤには、ラジアルタイヤとバイアスタイヤの2種類が採用されています。それでは各々の特徴と用途を見ていきましょう。

ラジアルタイヤ:高速耐久性に優れた構造で、主にスポーツバイクに使用されています。カーカスのコードはタイヤ側面から見てラジアル(螺旋状)に並んでおり、中心線に対し0度〜20度のベルトによって締めつけられています。剛性はベルトだけで決定できますので、トレッドとサイドウォール の剛性を別々にコントロールすることが可能です。そのため、バイアスよりも柔らかいグリップ力のあるゴムを採用できるなど、設計の自由度が高い構造です。

バイアスタイヤ:カーカス及びブレーカーのコードを中心線に対し30〜40度の角度(バイアス)で交互に貼り合わせています。ラジアル構造に比べて、設計自由度は小さいですが、路面のギャップをタイヤ全体で吸収しますから、ラジアルよりも乗り心地が良いのが特長でアメリカンやスクーターなど、快適性を求められるバイクに装着されています。

ラジアルタイヤの進化により、スポーツバイクの運転は劇的に変わりました。今でこそ当たり前ですが、タイヤを潰して走ることができるようになりました。サーキットや峠でバイクを倒して「膝すり」をするライダーさんがいるかと思いますが、昨今のMoto GPライダーは「肘すり」をするくらいになっています。これは一重にラジアルタイヤの進化(グリップ力の向上)によるところが大きいとされています。

マルク・マルケス選手の肘すり、凄すぎます

4.タイヤの役割は? なぜ前後で太さが違う?

タイヤの素材や構造を紹介してきましたが、タイヤの役割は「グリップ」だけではありません。下記の4つの重要な役割を担っているのが、二輪車のタイヤなのです。

①車体とライダーの重量を支える

②駆動力と制動力を地面に伝える

③方向転換をして維持する

④路面からの衝撃を吸収する

そしてこれらの役割は、意外かもしれませんがほとんどリアタイヤ(後輪)によるものです。ライダーが握っているハンドルの下にあるのがフロントタイヤ(前輪)だから、フロントが重要では?と思うかもしれませんが、「バイクはリアタイヤがメインでフロントタイヤは追従しているだけ」なのです。現行車のほとんどは、リアタイヤ幅が太く・フロントタイヤ幅が細いですよね。

メーカー・車種フロントタイヤのサイズリアタイヤのサイズ
トライアンフ・スラクストンR120/70ZR17160/60ZR17
ドゥカティ・848 Evo コルセSE120/70ZR17180/55ZR17
管理人の愛車も例外なく、リアが太くフロントが細いです

これには理由があって、リア・フロントそれぞれの役割が異なるからです。

リアタイヤは、エンジンパワーやライダーなど、大きな荷重を受け止めます。直進する時はもちろんですが、コーナーリングの立ち上がりではバンクした状態でパワーを路面に伝えてトラクションを稼ぎます。そして旋回力や方向安定性を発揮する為には、高いグリップ力が求められ、リアタイヤはそれに見合った太さが必要になってきます。

ピレリのロッソコルサ(リア)

それに対してフロントタイヤは、リアタイヤの傾きに追従しており、旋回時には「つっかえ棒」的な役割をしています。常にステアリング軸で首を振っている状態なので、ベタッとグリップしていません。フロントタイヤはリアに追従するだけなので、細くて軽量な方が都合が良いのです。さらに旋回時は、リアタイヤより外側の軌跡をたどるため、リアに比べて強く丸みが付いた形状になっています。

同じくピレリのロッソコルサ(フロント)

5. タイヤの選び方

少し前のモデルも混ざっていますが、タイヤ交換の際に下記の表を見ながら次のタイヤを選んでいます。現在履いているのは、ドゥカティ848が “Pirelli ロッソコルサ” ・スラクストンRが “Michelin ロード5” です。

スーパースポーツバイクやサーキットを走る場合は、上記表の左からレース、レーシングレプリカ及びハイグリップを選ぶと良いと思います。但し、左に行けば行くほどタイヤの寿命が短いと思っておいて下さい。ネイキッドバイク、カフェレーサーでそんなに攻めた走りをしないのであれば、ハイグリップ、スポーツ及びツーリングタイヤを選んで下さい。先ほどとは真逆ですが、右に行けば行くほどタイヤの寿命が長くなります。以前スラクストンRに履いていた、ピレリ・エンジェルGT2や現在履いているミシュラン・ロード5は、走行距離10,000キロ以上走りました。あくまで管理人の走り方によるものなので、全てのライダーさんに当てはまるかは分かりませんが、参考にして下さい。

ハーレーやSRなどは、一般的には上記のようなラジアルタイヤではなく、バイアスタイヤもしくはセミラジアルタイヤを使用することが多いです。3でも触れましたが、理由としては乗り心地が良いこと、そしてアメリカンなどの車種はスーパースポーツのようにはバンクさせないので、高価で寿命が短いラジアルタイヤ(ハイグリップタイヤ)を履く必要がないことです。ハーレー・ファットボーイに乗っていた頃はミシュラン・コマンダー2を履いていました↓

このようにバイクの種類によって、使うべきタイヤは変わってきます。同じようなグレードのタイヤでも、メーカーによって乗り味や特色が違うので、乗り比べてみるのも面白いと思います。

最後に

一昨年くらいまでの管理人は、何気なくバイクに乗って、寿命がきたらタイヤを交換しているだけのライダーでした。それがタイヤの重要性や進化を感じたのは、自身がハイグリップタイヤを履いてサーキットを走るようになったのがきっかけでした。そして今回、こうやってタイヤの素材や構造など調べていくと、また新たな発見がありました。バイクの構造を全くわかっていなかった超初心者の頃は、バイクはフロントで(右腕と左腕で)曲がるものだと考えていたくらいですから・・・(汗)まさかフロントタイヤがリアタイヤを追従するものとは・・・、本当にバイクはそしてタイヤは奥が深いですね。そしてタイヤの役割を意識してバイクに乗るだけで、以前より乗りやすくなったように思います。次回は、そのタイヤ(バイク)を停めることができる装置「ブレーキ」について詳しく書いていこうと考えています。タイヤと共に重要な役割を担うブレーキとは何か?乞うご期待下さい。

モンスター先輩のハングオンは絵になります

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