私のエンジニアブーツとエイジング

レザーラバーの皆様、今日も元気にブーツを履いていますでしょうか?現在の暦は2025年2月、ブーツを履くには最適なシーズンです。このブログで何度か発信している通り、筆者はブーツの中でもエンジニアブーツが大好きです。紐靴にはないツルッとした無骨なデザインがエンジニアブーツの特徴です。そのエンジニアブーツとは読んで字の如く、技術者(エンジニア)が履いていたからそう呼ばれるようになったのですが、バイカーにも非常に人気があります。バイクに乗るにはギアチェンジが必要なのですが、紐靴だと引っ掛かってしまう可能性があります。一方エンジニアブーツは、バックルしか付いていないのでその心配がありません。そんな訳で、バイカーやレザーラバーに愛好家が多いのがエンジニアブーツなのです。昨年度(2024年)、筆者のシューズボックスに新たに迎え入れたエンジニアブーツもいるので、今回は「私のエンジニアブーツ」と題して余す所なく紹介し、そのエイジング(経年変化)を見ていきたいと思います。

冒頭でも触れましたが、「エンジニアブーツ」とはどういった靴なのでしょうか?簡単に言えば、エンジニア(技術者)が工事現場で使用するために設計された、頑丈な革製ロングブーツの一種です。そして通常のエンジニアブーツは、足先を保護するためのカップ(鉄製の先芯)が内部に埋め込まれており、靴紐の代わりに物を引っかけないようベルトとバックルが付いています。靴底は厚く、つま先部分には丸みがあり、安全性が重視されているので、別名「安全靴」と言われます。これがエンジニアの起源とされるレッドウイングやチペワといった一般的なエンジニアブーツの説明なのですが、昨今の日本で作られるエンジニアブーツは、ディールが色々と変化してきています。

筆者が好きなエンジニアブーツは先芯がなく、安全性というよりは、軽くてシャープで歩きやすい作りをしています。つま先部分には丸みがないものが多く、ナロートゥと呼ばれる細いものを私は好んで履いています。靴底も比較的薄く、グッドイヤーウエルト製法など張り替えができるタイプを選んでいます。安全性を取っ払って、シャープでドレッシーなエンジニアブーツを作ったらこうなりましたといった感じでしょうか。それでいてバイクに乗る時はしっかり脚を守ってくれるブーツです。それでは次章より、私のエンジニアブーツ紹介いってみましょう。

エンジニアブーツの象徴的ブランドといえば、やはり「レッドウイング」です。しかしながら現在、レッドウイングではエンジニアブーツを全く生産していません。どういう訳か、日本以外の国ではエンジニアブーツが売れないようです。今世に出回っているレッドウイングのエンジニアブーツは、デッドストックか中古品のみです。そんな中、Made in Japanのブランド達がエンジニアブーツを多数リリースしています。それでは筆者が所有しているエンジニアブーツメーカーを、次章から見ていきましょう。

アトラクションズというブランドをご存知でしょうか?東京・原宿にショップを構え、アメリカンヘリテージをベースにしながらも、音楽やバイクなどのカルチャーを組み合わせ、独自の世界観を持ったアパレルブランドです。代表の西崎氏はくっきーさんのYouTubeにMAD3のエディーさんとよく登場するのですが、九州・長崎出身なので九州在住の筆者としては、少し親近感を覚えます。アトラクションズの中でもビルトバックは革ジャンやブーツなどのレザーアイテムが中心の構成です。そしてビルトバックが作るブーツの大半がエンジンニアブーツで、私が知る限りレギュラーで5型(限定品・別注品を除く)あります。ブーツ専業メーカーでも5型もエンジニアブーツを作ることは滅多にないので、ビルトバックからは本気のエンジニア愛がヒシヒシと伝わってきます。ビルトバックのエンジニアはドレスシューズのようにエレガントで美しく、それでいてアメリカンな無骨さも持ち合わせています。爪先は薄く先芯も入ってないので、軽くて歩きやすいのも特徴です。ここ近年、ビルトバックのエンジニアは人気がありすぎて販売すればすぐソールドアウト、欲しい方は注文して購入をオススメします。

代表の西崎氏と3型のエンジニアブーツ(Dig-itのページより引用)

それではビルトバックのエンジニアブーツを代表する3型を見ていきましょう。まずは筆者が所有しているLot. 269。使用している革はステアハイドのガラスレザー(革の表面に樹脂をコーティングして作られた革)なのですが、クロムとベジタブルタンニンのコンビ鞣しなので、耐久性があり且つエイジングも楽しめる一足です。靴幅はDワイズ、比較的足幅が広い筆者でも履きやすく、ソールもダブルソールで歩きいやすいです。私は2023年秋に、某フリマサイトで269の中古品を手に入れました。

上記の写真は、購入した際に撮影したモノです。履きこなした感はありますが、比較的綺麗な状態でした。バックルがニッケルのもの変更してありました。次章では、1年半くらい履いた後のエイジングをお見せします。

ステアハイドのLot.269が予約できるリンクです↓

ビルトバック Lot. 269を購入した時の投稿はこちら↓

続いて紹介するのが、ビルトバック・エンジニアブーツの象徴的存在であるLot.444。使用している革はホースバット、鞣しはフルベジタブルタンニン茶芯仕様です。269同様に美しいドレスシューズのようなフォルムのエンジニアブーツで、シャフトが適度に細く履くとスタイリッシュに見えます。幅はDワイズで、オリジナルのニッケル製バックルやヒールカウンター、セパレートソールに拘りを感じます。履けば履くほど馬革の荒々しい経年変化を楽しめる、素晴らしい一足です。

ホースバットの Lot.444が予約できるリンクです↓

最後に紹介するのは、ビルトバックで一番人気のエンジニアブーツ “Lot. 603” 、通称「ザ・パイオニア」です。モーターサイクルブーツ創生期をコンセプトにグレードの高いマテリアルで作り上げた、まさにエンジニアブーツのパイオニア(開拓者)的なブーツです。269や444に比べてクラシックな作りで、どちらかと言うとミリタリーブーツに近いかもしれません。そしてパイオニア最大の特徴は、ドレスブーツのようなインナーカウンターを使用していること。カウンターが外にないので後ろから見るとツルッとしており、ローパーブーツのような佇まいです。使用している革はGuidi(グイディ)のホースバット、フルベジタブルタンニン鞣し茶芯仕様。このパイオニアも非常にエイジングが楽しみな一足だと思います。

グイディのホースバットを使用した “ザ・パイオニア” Lot.603↓

東洋エンタープライズが展開するワークウエアブランド “シュガーケーン” のブーツラインが「LONE WOLF(ロン・ウルフ)」。アメリカ製の素材を使用し、縫製は日本の靴職人の手によって作られ、珠玉のアメリカン・エンジニアブーツを再現しています。筆者が所有しているLW00300は現在、廃盤になっている商品ですが、お店やネットに一部在庫として残っており、まだ販売しています。

LW00300の革は、ホーウィンのクロムエクセルでコンビ鞣しを採用。茶芯タイプなので、黒と茶のコントラストが楽しめます。そしてこのブーツの特筆すべきところは、ソールの作り。CAT`S PAW社製のハーフタイプを完全復刻し手打ちによる釘とステッチで補強しています。その為、クッション製に優れており無骨でアメリカンなブーツでありながら、非常の扱いやすい一足です。また革が柔くて脱ぎ履きしやすいので、私の中ではバイクに乗る時に履く頻度が一番多いエンジニアブーツです。

Lone Wolf LW00300を購入した投稿はこちら↓

3足目に紹介するのが、Duoford(デュオフォード)のLotus(ロータス)。デュオフォードとは、ファインクリークの山崎代表とMakersの手嶋代表がタッグを組み、2020年に立ち上げられたブランドです。そしてこのロータスに使用されている革はファインクリークのカーコートとして一世を風靡した「ギルモア」と同じホースレザーです。レザーのプロと靴のプロが作り上げたスペシャルなローパーブーツがロータスなのですが、現在は生産されていません。それでも一度履いてみたくて探していたところ、2024年冬にメルカリで見つけて、即決で購入しました。それではロータスの特徴を説明していきたいと思います。

革ジャンに使っている馬革というだけあって、ブーツとは思えないくらいの柔らかさで、履き心地はまさにパーフェクト。正直言いますと、最初に足を入れた時の衝撃は忘れられません。形は美しいシルエットのローパーブーツで、バックル等の装飾がないタイプです。そしてロータスの最大の特徴は、革ジャンの様に銀面に茶芯がうっすら出てくるエイジングにあります。筆者は中古品を購入したので、手にした時点で特に左足には茶芯が出ていました。現在のエイジング模様は次章で紹介します。

ファインクリークのギルモアは現在販売されていないので、カーコートのドリフターを貼っておきます↓

デュオフォードのロータスは現在販売されていないので、Makersのエンジニアブーツを貼っておきます↓

4足目のトリを飾るのは、浅草が産んだ筆者の大好きなシューズブラド “Roling Dub Trio” の「Casper」。ローリングダブトリオは、グリフィンやジラフといったエンジニアブーツを作っているのですが、私は絶対にこのエンジニアではないキャスパーを履いてみたいと思っていました。キャスパーはローダブの中でも一番人気の靴なので、制作・販売してもすぐに売り切れてしまい、中々購入することができません(予約して待てば買うことはできますが)。2024年春、いつもチェックしていたネットオークションにて、茶色のキャスパー27.5cm をロックオンしてなんとか落札することができました。到着時の商品状態も比較的良く、大満足な買い物になりました。

キャスパーはやっぱり美しいブーツですね

キャスパーという名前の由来は、アニメのお化けのキャラクターからきているようです。通常ブーツを作る時は、数枚の革を重ねて縫って行くのですが、キャスパーはなんと一枚革でクリッピングで癖付をしながら釣り制作をして作られています。縫い合わせがない為、履けば履くほどシワが入り、独特なエイジングを見せてくれます。筆者のキャスパーは表革が茶色で裏も茶色、つまり茶々芯です。黒いブーツにはない経年変化をするので、あえてブラウンを選ぶのも一考です。そしてキャスパーのもう一つの特徴は、ジッパーが付いていること。いや、ジッパーがなければあのフォルムを再現できないので、ジッパーを採用した様です。履けばわかる納得できるローダブのキャスパー、機会があればぜひ所有して欲しい一足です。

ネット販売サイトではターコイズのキャスパー(派手ですがちょっと欲しい)しか見当たりませんでした↓

キャスパーを購入した時のインプレは過去投稿をご覧ください↓

屋外にて自然光で写真を撮ったので、エイジングがわかりにくいのですが、4種類のエンジニアブーツの現状を貼ってみました。実はこのブーツ達は全て中古で購入しているので、新品からどれだけ履き込んだのかはわかりません。ですが、4種類とも素晴らしい革を使っているので、履けば履くほど経年変化が進んでいくことだけは確かです。キャスパー以外はバイクに乗る時にも履くので、踵やつま先が削れてきています。

革:ステアハイド・ガラスレザーのコンビ鞣し

革:クロムエクセルのコンビ鞣し

革:ホースハイドのベジタブルタンニン鞣し

革:クロムエクセルのコンビ鞣し

エニジングの写真をスマホで撮るのは、非常に難しいです。正直これらの写真では、経年変化がわかりにくいので、デジタル一眼を借りて撮り直したいと思います。(撮り直したら、再アップします)

今回は、「私のエンジニアブーツとエイジング」と題して、現在所有している4種類のブーツ紹介からエイジングまでを書いてみました。ロータスとキャスパーはエンジニアブーツと呼べないかもしれませんが、紐の付いていないブーツとしてラインナップに加えました。この4種類はそれぞれの特徴があって、甲乙つけることができない、どれも素晴らしい日本製ブーツです。革やディールにとことんまでに拘ったMade in Japanの真髄を見せてくれます。エンジニアブーツは、革ジャンやデニムスタイルにもマッチするし、バイクの運転もしやすいです。そのエンジニアブーツをもっと履き込んで、沢山歩いて、バイクに乗って、カッコいいエイジングに今後も取り組んでいきたいと思います。満足いくエイジングブーツに仕上がったら、またプログで紹介したいと考えていますので、どうかよろしくお願いします。このポストが、エンジニアブーツ購入の際、何らかの参考になれば幸いです。ここまでご購読ありがとうございました。

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