TCBジーンズ50’sのセットアップを購入&糊付けしました

読者の皆様、GWは楽しめたでしょうか?今年はコロナの影響もなく、行楽地では大変な賑わいをみせていたようです。筆者は人混みや渋滞が苦手なので、できるだけ人が集まらないスポットに単車で走りに行きました。朝方はまだ肌寒いので、革ジャンを羽織っていたのですが、昼間は気温が上がり5月とは思えない陽気。いよいよバイクシーンでも革ジャンを着れなくなるのかと思うと少し寂しいのですが、代わりにこれからジーンズを着て経年変化を楽しむことにします。

過去の投稿で自身のデニムパンツや、リーバイスのファーストタイプGジャン(LVCの復刻)を紹介しました。ですが導入したGジャンとパンツには、色落ちの差があります。どうせなら上下同じ生地感や色落ちのデニムが着たいと考え、ジーンズのセットアップを購入を検討。ジーンズの色々な動画を見たり、コラムを読んだりした結果、品質が良くてコスパが最強なデニムファクトリーブランド「TCBジーンズ」を選ぶことにしました。ということで今回は、検討したジーンズブランド達、TCBジーンズのモデル紹介、そして購入した50’sデニムを糊付けしてみたという3本立てで投稿していきたいと思います。

デニムの過去投稿はこちら↓

読者の皆様は、「レプリカジーンズ」と言うワードをご存知でしょうか?ジーンズは19世紀後半に労働者の作業着として生まれ、時間の経過と共に改良を重ね、変化していきました。リーバイスで言うとファースト、大戦、セカンドモデルなどは1920年代から1950年代に生まれたジーンズで、その時代のモノは特に人気があります。しかしながらその年代のジーンズ(現物)は、残存している数も少ない上に値段が高騰している為、一般人が中々手を出すことができません。そこで日本のアパレルブランドが、それぞれの考え方や手法でヴィンテージを再現(復刻)。それらを総称して、レプリカジーンズと呼んでいるのです。ブランドの中には、ヴィンテージを踏襲しつつも、現代のディテールを取り入れて、着こなしやすくしているモノもあります。中には、本家をも超えると言われる品質の高いジーンズもあるので、レプリカでも十分本物のデニム楽しめると私は考えています。

↓所有しているシュガーケーンの加工デニム(目指したい色落ちです)

日本の職人によるジーンズ作りには定評があって、多くのブランドが当時のジーンズを復刻させてリリースしています。正直、素晴らしいブランドがありすぎてセレクトするのは大変難しいのですが、上下セットアップで購入することを考慮して、下記の5ブランド選んで見ました。簡単なブランドの説明に加えて、ブランド一押しモデルのアフィリエイトも貼っておきます。

日本が誇る「デニムの聖地」岡山・小島に縫製工場を構える”TCBジーンズ” 。今回はTCBのセットアップを購入したので、次章より詳しく説明しようと思います。

3rd タイプを踏襲した60’sトラッカージャケット↓

シュガーケーンとはサトウキビという意味であり、日本に誕生した戦後初めての米国向け衣料メーカーです。東洋エンタープライズが1965年、米軍によるベトナム戦争への本格的介入を機に、日本の米軍基地関係者を対象として設立しました。当初は米軍向けの衣料製造と共に国内への米軍サープラスの流通窓口としての展開も行い、ベトナム戦争が1975年に終結すると完全な国内向けの衣料メーカーへと転身。シュガーケーンの誕生は日本でありながら、米軍基地を相手に育っただけにその精神も物作りのノウハウもアメリカ仕込み。当時から現在に至るまで、アメリカンスタイルのシンボルとも言えるデニム素材を中心とした本場仕込みのワークウエアを作り続けているブランドです。

今年に入って、シュガーケーンは1943大戦モデルを復刻させました。このモデルはシュガーケーン最高傑作と称され、アパレル店では早々に売り切れ続出だったようです。詳しくはCrutchman TVの動画をご覧下さい。

もうネット上にはサイズがほとんど残っていませんが、1943大戦のジャケットです↓

JELADOは元々東京・高円寺の古着屋さんで、ヴィンテージ古着をベースとしたオリジナルラインと国内外のブランドを扱うセレクトショップ。特にデニム作りには定評があり、1950年代初期のリーバイス501XXのデッドストック生地を分解し、綿から選定、糸番手、繊維長、撚り係数など科学的に解析し再現したデニムは大変人気があります。

ジェラード史上最も売れたデニム・301XXの動画↓

ウエアハウスカンパニーは「ヴィンテージ古着の忠実な復刻」というテーマを追い続けるアメカジブランドです。Tシャツ、スエット、ワークパンツなどをリリースしていますが、特にデニム作りには定評があります。1995年設立以来、ヴィンテージの生産された時代の背景を考察し、糸の一本から生地、縫製、そして洗い加工にいたるまで、徹底的に研究を重ねています。さらに、生産された当時の無骨さや、匂いなどの風合いを消さないサイズアレンジにも取り組んでいる、デニムブランドです。

知る人ぞ知る、通称「滋賀デニム」と言われるブランドが ”One Piece Of Rock” 。当時物のミシンや機械を使い、各時代のビンテージデニムを現代のアクセントを加えながら、スタイリッシュに仕上げる技術に脱帽させられます。有名人のYoutubeに度々登場するブランドしても有名です。また余談ですが、ワンピースオブロック初期メンバーの一人は、”ゴイゴイスー” でお馴染みのダイアン・津田氏の相方であるユースケ氏だったようです。他のブランドよりも若干値段が張りますが、ワンピースオブロックの大戦モデル・セットアップは一度所有してみたいですね。

これらの甲乙付け難いデニム達の中から、今回はTCBのセットアップを選びました。それでは次章より、TCBジーンズについて迫っていきます。

前章でも述べた通り、岡山・小島に縫製工場を構えるTCBジーンズ。設立当初は、自社ブランドではなく下請け工場として稼働していたようです。TCBジーンズは、古き良きアメリカのデニムをサンプリングし、現代の日常服としても魅力的に着てもらえるデニムスタイルの製作と提案にこだわっています。1880~1960年代当時のアメリカのライフスタイルや空気感を紐解き、道具としての扱いやすさ、着ることで気分が高まるような、感覚的な良さを細かいディテールに落とし込んでいます。また、自分達で作って売るというファクトリーブランドとしてのスタイルで、作り手の顔が見える製品づくりを心がけています。(TCBジーンズのHPより引用)

「自分たちが本当に作りたい商品だけを作るブランド」というコンセプトのもと、ジーンズを作っているブランドなので、ヴィンテージを踏襲しながらも独自のモノづくりには定評があります。そして私が初めてのセットアップとして選んだのには、2つの理由があります。

1つ目の理由は、とにかくラインナップが豊富なことです。セットアップで購入できるのが、20年代、30年代、40年代(大戦モデル)、50年代、60年代。ジーンズが一番進化した過程を、年代ごとに楽しむことができます。正直どの年代を選ぶか、迷いに迷いました。またリーバイスだけでなくLeeやラングラーを踏襲したモデルも、リリースされています。

2つ目の理由は、他のブランドに比べて価格がリーズナブルなことです。正直ジーンズにこだわっていない人にとっては、セットアップ上下で8〜15万円の価格は中々出せないのではないでしょうか。しかしながら、ここまで品質にこだわっているTCBジーンズを選ぶと、なんとセットアップが4万〜6万円で購入できるのです。品質の良いセットアップが欲しい、またこだわりのジーンズを履きたいと思っている方は、TCBを選んで得しかないと考えます。

以上のことから、今回私は、TCBジーンズをネットで注文することにしました。それでは次章でTCBのモデルについて触れていきたいと思います。

今回は、1920年〜50年代のリーバイスを踏襲したモデルを紹介していきます。

20’sのJacketは、1920年代の1stタイプをモデルに作られています。5つボタン、右胸のみフラップ付きポケット、シンチバックル仕様で、形はボックススタイルと呼ばれています。

20’sのJeansは、1922年のヴィンテージを元に作られています。この時代の特徴は、サスペンダーボタンや尾錠、ベルトループが付いています。シルエットは太めで、12.5オンスのデニムを使っています。

30″sのJacketは、1930年代の1stタイプを踏襲していますが、左胸のポケット、フロントプリーツ、シンチバック、ボックスシルエットが特徴です。リベットや赤タブがつき、生地が12.5オンスになっています。

30’s のJeansは、1930年代のリーバイス501XXCを元に作っています。サスペンダーボタンは無くなりましたが、シンチバックは残ります。ボタンやリベットにも変更があるので詳しくは、下記の販売サイトをご確認下さい。

S40’s Jacketは、第二次世界大戦時のの1940年代に生産された大戦モデルのデニムジャケットをベースに製作しています。当時アメリカでは物資統制が行われ、様々なものが簡略化を義務付けられました。4つボタン、フラップなしポケット、ブリーツの高さ&シンチの位置がずれているなど、当時の大戦モデルを忠実に再現しています。生地も大戦モデルの為に特注していますが、着丈は現在でも着やすいように長めになっています。

S40’s Jeansは、第二次世界大戦時の1940年代に生産された大戦モデルのジーンズをベースに製作しています。コインポケット・バックボケットの刺繍は省略されていたり、スレーキがオリーブカラーのヘリンボーンツイル生地になっているなど、当時の大戦モデルを忠実に再現しています。

TCBジーンズを買うなら大戦モデルを選びたかったのですが、どこのお店もソールドアウト。TCB本家のサイトには、予約注文を受け付けており、納品は今年の7〜8月とのことです。

④ 50’sモデル

50’sのJacketは、1950年代のデニムジャケット(2ndタイプ)をベースに製作しています。プリーツと両胸にポケットが付き、腰の部分にはアジャスターを備えるなど、当時のデニムジャケットを忠実に再現しています。生地は13.5オンスのジンバブエコットンを使用し、アタリ感は太く短い落ち方が特徴で、それが自然に線に繋がって行った際には、最高のたて落ちを魅せてくれるます。

50’sのJeansは、1950年代の円熟期を迎えたJeansをベースに制作しています。隠しリベットや赤タブが付くなど、501XXを踏襲している王道ジーンズと言えるでしょう。生地は、ジャケットと同じく13.5オンスのジンバブエコットンを使用していますが、シルエットはストレートとテーパードしたスリムを選ぶことができます。

これらのモデルの特徴を、サイトやYoutubeで何度も確認し、まずはどのモデルを買うか吟味しました。先月リーバイスのファーストタイプ・レプリカを購入したのもあって、今回はセカンドタイプが採用されている50’sのセットアップを、ネットで注文することにしました。

・TCBジーンズ50’sが着弾

身長177センチ体重74kgの筆者は、50’s ジャケットは42サイズ、50’s 5ポケットジーンズ スリムの33サイズ(ウエスト88cm)をセレクトしました。ネット注文して2日後、商品が到着。ジャケットはジャストサイズより少し大きめながら、中に薄いスエットも羽織れそうなサイズ感でした。しかしパンツの方は、思っていたより腰から腿周りがキツく感じ、サイズ変更をお願いしました。新たにリクエストしたのが、通常のストレート34サイズ(ウエスト86cm)。こちらを選ぶと、腰から腿周りのキツさは解消されました。購入したQuriousさんの迅速な対応に感謝します。

5ポケットジーンズ・ストレートの股下は91cm。筆者には長すぎるので、近所でチェーンステッチで裾上げしてもらう直し屋さんを探しました。チェーンステッチできるところが熊本にはあまりなかったのですが、あるお店を紹介してもらって無事裾上げ完了。読者の皆様は、チェーンステッチとシングルステッチの違いをご存知でしょうか?

(左)チェーンステッチ(右)シングルステッチ↓

2つは縫製の方法が異なっており、使うミシンも違ってきます。生産性が高いのがチェーンステッチの特徴なのですが、なんせミシンの価格が高いようです。シングルステッチは、安価な家庭用ミシンでもできます。また上記の写真を見てもわかるように、表面の縫製は似ていますが裏面に違いが見られますね。そしてチェーンステッチの大きな魅力が、袖のアタリ(色落ち)ではないでしょうか。とにかく履けば履くほどダイナミックなアタリが出るので、デニム好きにはチェーンステッチを選ぶ人が多いようです。

最後に紹介するのは、ジーンズの糊付けです。通常なら糊付けされているリジットのデニムをワンウオッシュして生地を縮ませ、それから履くのが定石だと思いますよね。それをあえて糊付けするのは意味があるのです。端的に言うと、綺麗な色落ちをさせるために、糊付けをします。しないよりした方が、デニム好きが好むヒゲやハチノスが綺麗に出やすいのです。

ジーンズの糊付けに用意するモノは、洗濯糊(のり)とジーンズハンガーのみです。洗濯バサミがたくさんついたハンガーでも代用できます。

糊が床についてしまうのを防ぐために、ビニールを敷くかお風呂場でするのをオススメします。まずジーンズ、ジャケットを裏返しにします。下記の写真のように、洗濯糊をジーンズにかけて手で伸ばしていきます。但し、ジーンズのスレーキ(ポケット部分)は糊がつかないようにして下さい。前方も後方も満遍なく糊付けしていきましょう。ヒゲを強く出したい場合は腰下から腿周りを、ハチノスを強く出したい場合は膝裏を、重点的に塗っていきます。塗り終わったら表返しにして、糊が引っ付かないように洗濯バサミを複数箇所につけて、陰干しして下さい。

洗濯糊が完全に乾いたら、シワ入れの儀式です。ジーンズが非常に硬い状態になっていますが、頑張って履きます。そして膝を曲げて、何度か屈伸してみましょう。こうすることによって腿周りや膝裏に強いシワが入るので、これが履き込んでいくと綺麗なヒゲやハチノスに育っていきます。タイトなジーンズでは糊付けしなくても出やすいですが、少しルーズなシルエットのストレートタイプだと糊付けした方が、綺麗にダイナミックなアタリがでます。しばらく履いていると少し柔らかくなってきますので、あとはひたすら履き込むのみです。

↓TCBジーンズのセットアップを着てツーリング↓

ということで今回は、前半はレプリカジーンズのお話、中盤はTCBジーンズについて、後半は購入したTCBジーンズを糊付けしてみたという三部作でお届けしました。ヴィンテージジーンズを踏襲したレプリカジーンズですが、各メーカーの技術や思いが結集したデニムであることがよくわかりました。そして数あるレプリカジーンズの中から選んだ、TCBジーンズの50’sセットアップを手にしてみて、スタート地点に立った気分になっています。ここからデニムのエイジングという名の、長きマラソンレースが始まるのかと思うと、ワクワクしている自分がいます。ガンガン履き込んで、また近い将来、TCBジーンズの色落ちレポートをしていこうと思っているので、よろしくお願いします。

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2件のコメント

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